はじめに:お米は日本の主食。でも今どうなってる?
日本人の食卓に欠かせない主食であるお米。しかし、近年その生産量や消費量はどのように変化しているのでしょうか。最新の統計データをもとに現状と今後の展望を解説します。
生産量の推移
2024年(令和6年)産の主食用米の収穫量は約679万トンと見込まれ、前年より増加しました。全国の作況指数も101(平年並み)と安定しています。
2024年の生産量は683万トンで、需要見通しの674万トンを上回っています。需給の逼迫は当面回避される見通しですが、需要が想定より増加した場合には再び不足リスクも指摘されています。
長期的には、1960年の1,254万トンをピークに生産量は減少傾向にあり、2020年時点では約43%減少しています。
消費量の推移
1人当たり年間米消費量は、昭和37年度(1962年)の118.3kgをピークに減少し、平成29年度(2017年)には54.2kgと半分以下にまで落ち込んでいます。
総務省「家計調査」でも、家庭内での米購入量は年々減少傾向が続いています。
消費減少は特に中高年世代で顕著であり、若年層だけでなく幅広い世代で米離れが進んでいます。
原因分析:なぜお米の消費が減っているのか?
食の欧米化やライフスタイルの変化により、パンや麺類など他の主食へのシフトが進行しています。家庭内での米消費量は減少する一方、パン・麺類の消費量は増加傾向にあります。
女性の社会進出や中食・外食の増加、少子高齢化、人口減少など社会構造の変化も複合的に影響しています。
家庭内消費の減少が主食用米全体の消費減少に大きく寄与していると考えられています。
今後どうなる?:米粉や輸出など新たな可能性
米粉や米加工品の開発・需要拡大、海外への輸出強化など新たな市場開拓が進んでいます。農林水産省は米の輸出拡大戦略を推進し、コメやコメ加工品の輸出実績も増加傾向です。
2023年から2024年にかけては、コロナ禍後の外食需要やインバウンド需要の回復で一時的に米需要が増加する動きも見られました。
ただし、人口減少トレンドは続くため、国内需要は今後も減少傾向が続くと予測されています。
活用できるデータ・信頼できる統計ソース
機関 | 内容 |
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農林水産省 | 米の生産・消費・輸出入データ(公式サイト、需給・価格動向) 詳しくはこちら(農林水産省) |
総務省 | 家計調査(1人当たり消費量、世帯別・年代別データ) 詳しくはこちら(総務省統計局) |
財務省 | 輸出入に関する統計データ 詳しくはこちら(財務省貿易統計) |
まとめ
- 日本の米生産量は長期的に減少傾向だが、2024年は一時的に増加。
- 1人当たり米消費量は半世紀で半分以下に減少し、特に家庭内消費の減少が顕著。
- パン・麺類へのシフト、ライフスタイルや人口構造の変化が主な要因。
- 米粉や輸出など新たな需要創出が進むが、国内消費の減少傾向は今後も続く見通し。
- 信頼できる統計データとしては、農林水産省「米の需給と価格の動向」、総務省「家計調査」、財務省「貿易統計」などが挙げられます。