切り方図鑑|肉の反りと噛みにくさをやわらげる下ごしらえ
筋や境目に浅く入れて、肉を扱いやすくする
筋切りは、肉の筋や脂身との境目に浅く切り込みを入れる下ごしらえです。焼いたときの反りを抑えたり、食べやすい口当たりに近づけたりするために使います。
- 向いている素材豚ロース、鶏もも肉、鶏むね肉、牛ステーキ肉
- 見るポイント筋や脂身との境目を見て、浅く数か所入れます。
- 使いやすい料理ソテー、とんかつ、ステーキ、照り焼き
- 練習の軸切り分けるのではなく、つっぱる部分を少し切る意識です。
- 所要時間豚ロース2枚で1〜2分
- 難易度★☆☆(境目に刃先を入れるだけ)
- 道具三徳包丁・まな板
筋切りは「つっぱる部分」を浅く切る
肉は加熱すると縮みます。筋や脂身との境目が強く縮むと、肉が反ったり、食べたときに噛み切りにくく感じたりします。
筋切りでは、つっぱりやすい部分に浅く切り込みを入れます。深く切りすぎると肉が分かれてしまうので、数か所に軽く入れるくらいから始めます。

豚ロースは脂身との境目を見る
とんかつやソテーに使う豚ロースは、赤身と脂身の境目に筋があります。境目に数か所切り込みを入れると、焼いたときの反りを抑えやすくなります。

鶏肉は厚みと筋を見て整える
鶏もも肉や鶏むね肉は、厚い部分を開いたり、目立つ筋を軽く切ったりして、火の通りを近づけます。切り込みだけでなく、厚みをならす考え方も合わせて使います。

料理別の使い分け

とんかつ
豚ロースの境目に切り込みを入れ、揚げたときの反りを抑えやすくします。

ソテー・ステーキ
厚みのある肉は、焼く前に筋や境目を確認します。

鶏の照り焼き
厚みがある部分を開き、火の通りを近づけると仕上げやすくなります。
筋切りを入れる場所と間隔
筋切りをしないと、加熱したときに肉が反り返り、中央だけが浮いて火の通りにムラが出ます。とんかつでは衣がはがれる原因にもなります。
| 素材 | 入れる場所・間隔 | ねらい |
|---|---|---|
| 豚ロース(とんかつ・生姜焼き) | 赤身と脂身の境に2〜3cm間隔で4〜5か所 | 反りを防ぎ、平らに焼けます |
| 豚ロース(厚切り) | 境に加えて中央にも数か所 | 厚いほど反りやすいので増やします |
| 鶏むね肉 | 白い筋を切るか引き抜く | かたい筋が口に残らなくなります |
| ステーキ肉 | 脂身と赤身の境に数か所 | 縮みを防ぎ、厚みが均一に保てます |
切り込みは深さ数mm、肉を貫通させないのが基本です。片面だけで十分に効果があります。
数値は目安です。素材の大きさや料理に合わせて前後してかまいません。
筋切りの基本手順
失敗しやすいところ
焼くと反り返ってしまう
原因は、切り込みが脂身と赤身の「境目の白い筋」に届いていないことです。この筋が加熱で縮んで肉を引っ張ります。境目を目で確認して、そこに刃先を当ててください。
肉汁が出て水っぽくなる
原因は、切り込みを入れすぎているか、貫通させていることです。片面のみ、4〜5か所、深さ数mmで止めます。多く入れるほど肉汁の逃げ道が増えます。
鶏むね肉の筋が取れない
原因は、包丁で切ろうとしていることです。筋の端を指かフォークで押さえ、包丁の背で軽くしごくように引くと、きれいに抜けます。
今日の筋切りチャレンジ
今日の料理に使う分だけで大丈夫です。速さよりも、どこに包丁を入れると料理が扱いやすくなるかを見ます。
ほかの切り方と合わせて使う
筋切りは、輪切りや乱切りのような形を作る切り方と組み合わせて使う下ごしらえです。先に料理で使う形を決め、そのあと必要に応じて角を落とす、切り込みを入れる、皮を整える、と考えると使いやすくなります。
慣れないうちは、仕上がりを完璧にしようとしなくて大丈夫です。素材が安定しているか、切り込みが深すぎないか、料理に必要なひと手間かを確認しながら進めます。
よくある質問
- 筋切りは意味がない?
- 厚みのある肉では効果があります。加熱すると脂身と赤身の境の筋が縮んで肉を反らせるため、そこを切っておくと平らに焼けて火の通りがそろいます。薄切り肉では反りにくいので省いて構いません。
- 筋切りは両面に入れる?
- 片面で十分です。両面に入れると肉汁が逃げやすくなります。焼いたときに上になる面から入れておけば、見た目にも影響しません。
- 鶏むね肉の筋切りはどこを切る?
- 身の中央を走る白い筋です。切るというより、端を押さえて包丁の背でしごきながら引き抜くときれいに取れます。取っておくと、加熱してもかたい部分が口に残りません。

