最初のメッセージは、うまく書けなくてかまいません。この回では、ミカさんが素のままの一言を送って、会話が始まるところまで進めます。
この回で作るもの
実際に送る、最初の相談文
整った依頼文ではなく、今の自分の状況をそのまま書いた一言を作って送ります。AIが質問を返してきて、そこから会話が始まる体験を1回作ります。
今回の例
ミカさんが、入力欄を開いて閉じている
ミカさんは前回、作業を分けるところまでは進みました。今日はAIに送ってみようと入力欄を開きました。ところが、カーソルが点滅しているのを見ているうちに、何を書けばいいのか分からなくなって画面を閉じました。
- 頭にあること
- 「道の駅の記事が書けない」「何から頼めばいいのか分からない」
- 書けなかった理由
- 丁寧な文にしないと失礼な気がする / 短すぎると相手にされない気がする / 間違った聞き方をしたら変な答えが返ってきそう
- 手元にあるもの
- 前回作った作業分解メモ
最初の一言は、上手でなくていい
ミカさんが止まっているのは、「正しいプロンプト」を書こうとしているからです。プロンプトとは、AIに送るお願い文のことですが、最初から完成させる必要はありません。
AIとのやりとりは、送信して終わりではありません。返ってきた答えを見て、条件を足したり、方向を変えたりできます。むしろ短く始めたほうが、AIのほうから「何を教えてほしいですか」と聞いてくれることがあります。
- 敬語かどうかは、答えの質に関係しません
- 短くても大丈夫です。1行でも会話は始まります
- 変な聞き方をしても、壊れることはありません。もう一度聞けます
- 途中でやめても、あとから同じ会話に戻れます
この回では、実際にAIの画面を開いて1回送ってみます。使うサービスは何でもかまいません。画面の名称や配置は変わることがあるので、この講座では特定の画面の位置は説明しません。文字を入れる欄を探して、そこに貼るだけで大丈夫です。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- あいまいな相談を受け取って、質問で返す
- 何が分かっていないのかを整理する
- 相談文の書き方そのものを提案する
自分で見る
- 実際に送信する
- 返ってきた質問に答えるかどうか
- その答えが自分の状況に合っているか
進め方
- 今困っていることを、話し言葉のまま1行書く
- そのまま送る
- 返ってきた質問に、分かる範囲で答える
- 会話が続いたら、手元のメモを渡す
- 最後に、使いやすかった言い方を1つ覚えておく
そのまま使える依頼文
1. 何も整理せずに、そのまま送る
うまく説明できないのですが、道の駅に行った記事を書きたいのに書けずに困っています。
何から始めればいいですか。
出力例
「大丈夫です。いくつか教えていただけると、始めやすい場所が見つかります。
1. その道の駅で、一番印象に残っていることは何ですか。
2. 写真やメモは残っていますか。
3. 記事はどれくらいの長さを考えていますか。
全部に答えなくても構いません。答えやすいものだけで大丈夫です。」
質問が返ってきたら、会話は始まっています。ここから先は、答えるだけで進みます。
2. 質問に、分かる範囲で答える
1. 黒ごまソフトが香ばしくておいしかったことです
2. スマホの写真が8枚あります。メモも少しあります
3. 長さは決めていません
こんな感じですが、次はどうしたらいいですか。
出力例
「ありがとうございます。黒ごまソフトが軸になりそうです。
次は、写真を見ながら覚えていることを3つだけ書き出してみてください。おいしかった以外に、どんな味だったか、どこで食べたか、そのとき何を思ったか。短くて構いません。
3つ書けたら、そのまま貼ってください。そこから記事の形にしていきます。」
3. 前回のメモを渡す
前に作ったメモがあります。これを見て、今日やる作業を1つだけ選んでください。
メモ:
AIに頼めそう: 材料の整理、読者の疑問出し、タイトル案、導入文
自分で確認: 道の駅の正式名称、商品名、営業時間、価格
今日は20分しかありません。
出力例
「20分なら、材料の整理がおすすめです。
理由は、写真とメモを見ながら書き出すだけなので、途中で止まっても損がないからです。確認が必要な項目は、電話や公式サイトを見る時間がいるので、今日は避けたほうがよいと思います。
始めるなら、写真を見ながら『覚えていること』を3つ書いて、こちらに貼ってください。」
4. 聞き方そのものを教えてもらう
私はAIを使い始めたばかりです。
さっきの私の聞き方は、分かりにくかったですか。
もっと答えやすい聞き方があれば、書き直した例を見せてください。
私の元の言葉はできるだけ残してください。
出力例
「十分に伝わりました。強いて挙げるなら、次の1点を足すと答えやすくなります。
元の文: 道の駅に行った記事を書きたいのに書けずに困っています
足すとよい情報: どこで止まっているか(始め方か、書く内容か、まとめ方か)
書き直した例: 道の駅に行った記事を書きたいのですが、最初の一文が書けずに止まっています。写真とメモはあります。
言い方を丁寧にする必要はありません。困っている場所が1つ分かるだけで、返事がしぼれます。」
5. 途中でやめて、あとで戻る
今日はここまでにします。
次にこの会話を開いたとき、すぐ続きから始められるように、
ここまでの話を3行でまとめてください。
次にやることも1つ書いてください。
出力例
- 道の駅の記事を書きたい。写真8枚とメモがある
- 記事の軸は、黒ごまソフトを食べた感想にする
- 営業時間や商品名は未確認。あとで公式の案内を見る
次にやること: 写真を見ながら、覚えていることを3つ書き出して貼る
この3行をコピーして、次に開いたときに貼り直せば、同じところから再開できます。
出力をレビューする
- 返ってきた質問が、自分の状況に合っているか
- 答えられない質問ばかりになっていないか
- 自分が言っていないことを、前提にされていないか
- 次にやることが1つに絞られているか
返事が使いにくかったときの直し方
「記事作成の基本は、ターゲット読者の設定とキーワード選定です。まずペルソナを明確化し、検索意図を分析したうえで、E-E-A-Tを意識した構成を設計しましょう。SEOの観点からは、見出し構造の最適化も重要です。」
説明としては間違っていませんが、ミカさんの状況とは離れています。ミカさんは最初の一文が書けなくて困っているだけです。専門用語が並んだ結果、送る前より分からなくなりました。
専門用語が多くて分かりませんでした。
・カタカナの用語を使わないでください
・記事作成の一般論ではなく、私が今日できることを教えてください
・手順ではなく、まず1つだけ教えてください
私は最初の一文が書けなくて止まっています。
「まず、写真を1枚だけ選んでください。その写真を見ながら、思い出したことを1行書いてみてください。うまい文でなくて大丈夫です。それをこちらに貼っていただければ、続きを一緒に考えます。」
難しい答えが返ってきたときは、こちらが悪いわけではありません。「用語を使わないで」「今日できることだけ」と伝えれば、すぐ調子が変わります。
小さな練習
今、実際にAIの画面を開いてください。そして依頼文1をコピーして、道の駅の部分だけ自分の困りごとに変えて送ります。
返ってきた質問に、1つだけ答えてください。全部答えなくてかまいません。1往復できたら、この回は完了です。
次へ進む目安
入力欄を前にしても手が止まらなくなったら十分です。今日送った一言は、うまく使えたなら第9回で自分の定番の型にします。
次は「大きな作業を小さく分ける」へ進みます。1つの作業から、抱えている作業全体へ広げます。