2つの候補で迷うのは、比べる軸が決まっていないからです。この回では、ナオさんが比較表を作って、迷いを目に見える形にします。
この回で作るもの
優劣を書かない比較表
2つの候補を5つの軸で並べた表を作ります。どちらが良いかはAIに決めさせず、表を見て自分で選びます。
今回の例
ナオさんが、2つの直売所で決めきれない
ナオさんは、地域の直売所を記事にしようとしています。候補が2か所あり、どちらも訪ねました。ところが1週間たっても、どちらを記事にするか決まりません。
- 候補A(駅前の直売所)
- 駅から徒歩3分 / 朝7時開店 / 品数は少なめ / 現金のみ / 移住相談の窓口が同じ建物にある
- 候補B(郊外の直売所)
- 駅から車で15分 / 朝9時開店 / 品数が多い / 電子決済も使える / 加工品の売り場が広い
- 迷っていること
- Aは行きやすいが品数が少ない。Bは品揃えが良いが車が要る。どちらも記事にできそう
- 止まっている理由
- 何を基準に比べればいいのか分からない
迷いは、軸が決まると小さくなる
ナオさんは「Aは行きやすい、Bは品揃えが良い」と、違う軸で2つを比べています。これでは決まりません。行きやすさと品揃えは、どちらが大事とも言えないからです。
比較表を作ると、この状態が目に見えます。同じ軸で並べると、どこが違うのかが分かります。そのうえで「自分にとってどの軸が大事か」を決めれば、選べます。
- 違う軸で比べると、いつまでも決まらない
- 軸が多すぎると、かえって迷いが増える
- AIに「どちらがおすすめ?」と聞くと、判断を渡すことになる
- 優劣が書かれた表を見ると、自分で考えなくなる
比較を頼むと、AIは結論を出したがります。「どちらが良いかは決めないでください」と先に伝えておくのが要点です。決めるのは、自分の事情を知っている自分だけです。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- 比べる軸を提案する
- 同じ軸で情報を並べる
- 表の形に整える
- 情報が足りない欄を指摘する
自分で見る
- どの軸が自分にとって大事か
- 最終的にどちらを選ぶか
- 表に入れた情報が確かめたものか
- 読者にとって役立つ軸かどうか
進め方
- 2つの候補の情報を並べて渡す
- 比べる軸を5つ提案してもらう
- 軸ごとに情報を並べて表にしてもらう
- 足りない欄を確かめる
- 大事な軸を自分で決めて、選ぶ
そのまま使える依頼文
1. 比べる軸を提案してもらう
直売所を2か所訪ねました。どちらを記事にするか決めかねています。
【候補A 駅前】
駅から徒歩3分 / 朝7時開店 / 品数は少なめ / 現金のみ / 移住相談の窓口が同じ建物にある
【候補B 郊外】
駅から車で15分 / 朝9時開店 / 品数が多い / 電子決済も使える / 加工品の売り場が広い
この2つを比べる軸を5つ提案してください。
どちらが良いかは決めないでください。軸だけ出してください。
出力例
- 行き方 — 徒歩か車か、所要時間
- 開いている時間 — 開店時刻
- 買えるもの — 品数と種類
- 支払い方法 — 現金のみか、他の方法も使えるか
- ほかにできること — 直売所以外の機能(窓口、加工品売り場など)
5つとも、どちらの候補にも当てはまる軸です。片方にしかない要素(移住相談の窓口、加工品売り場)は、5番目の軸にまとめました。
2. 優劣をつけずに表にする
5つの軸で比較表を作ってください。
条件:
・列は「軸」「候補A 駅前」「候補B 郊外」の3つ
・どちらが良いかは書かないでください
・「◎」「○」「△」などの記号で評価しないでください
・事実だけを並べてください
・私が渡していない情報は書かないでください
出力例
| 軸 | 候補A 駅前 | 候補B 郊外 |
|---|---|---|
| 行き方 | 駅から徒歩3分 | 駅から車で15分 |
| 開いている時間 | 朝7時開店 | 朝9時開店 |
| 買えるもの | 品数は少なめ | 品数が多い |
| 支払い方法 | 現金のみ | 電子決済も使える |
| ほかにできること | 同じ建物に移住相談の窓口 | 加工品の売り場が広い |
評価の記号は使っていません。閉店時刻や定休日は、いただいた情報にないため空欄にしていません。必要であれば確認して追加してください。
3. 足りない情報を指摘してもらう
この表で、片方にしか情報がない軸や、
確かめていないと書けない箇所があれば教えてください。
私が確認できるのは、それぞれの公式サイト、店頭の掲示、電話です。
確認しないまま記事に書くと問題になりそうな箇所には、印を付けてください。
出力例
片方にしか情報がない軸
- 「ほかにできること」 — Aの移住相談窓口とBの加工品売り場は、性質が違います。同じ軸で並べると比べにくいので、それぞれ別の項目として扱うほうが正確です
確認が必要な箇所
- 印 開店時刻(A 7時 / B 9時) — 季節で変わることがあります。公式サイトか電話でご確認ください
- 印 支払い方法 — 導入や中止があり得ます。訪問時の掲示を思い出せない場合は、再確認をおすすめします
- 「品数が少なめ / 多い」 — あなたが訪ねた日の印象です。曜日や時間帯で変わるため、「わたしが行った日は」と添えると正確になります
4. 軸に重みを付けて考える
私の状況は次のとおりです。
・車は運転できるが、普段は使わない
・朝は早く動ける
・記事の読者は、移住を検討している人を想定している
この状況で、5つの軸のうちどれが重くなるかを整理してください。
どちらを選ぶかは決めないでください。
重みの考え方だけ教えてください。
出力例
重くなる軸
- 行き方 — 車を普段使わないなら、徒歩3分と車15分の差は日常の使いやすさに直結します
- ほかにできること — 読者が移住検討中なら、移住相談の窓口が同じ建物にあることは、他では得にくい情報です
軽くなる軸
- 開いている時間 — 朝早く動けるなら、7時でも9時でも大きな差になりません
- 支払い方法 — 現金を持っていけば済む差です
判断が分かれる軸
- 買えるもの — あなたが何を買いたいかによります。日常の野菜なら品数は少なくても足り、加工品を探すなら多いほうが向きます
5. 読者向けの表に作り直す
この比較表を、記事に載せる形にしたいです。
・読者は移住を検討している人です
・どちらが良いかは書かず、読者が選べる表にしてください
・確認できていない項目は表から外してください
・表のあとに添える一文も考えてください(1文だけ)
出力例
| 駅前の直売所 | 郊外の直売所 | |
|---|---|---|
| 行き方 | 駅から徒歩3分 | 駅から車で15分 |
| 品ぞろえ(訪問日) | 野菜が中心。品数は少なめでした | 野菜に加えて加工品も。品数は多めでした |
| あわせて立ち寄れる | 同じ建物に移住相談の窓口 | 加工品の売り場 |
表のあとの一文: 「開店時刻や支払い方法は変わることがあるため、お出かけ前に公式の案内でご確認ください。」
確認できていない開店時刻と支払い方法は、表から外しました。品ぞろえには「訪問日」と添えて、その日の様子だと分かるようにしています。
出力をレビューする
- どちらが良いという評価が入っていないか
- 記号による採点が混ざっていないか
- 両方の候補に同じ軸が適用されているか
- 確かめていない情報が表に入っていないか
- その日の印象が、常にそうであるかのように書かれていないか
返事が使いにくかったときの直し方
「総合評価では候補Bをおすすめします。品ぞろえ◎、支払い方法◎、施設の充実度◎と、多くの項目で優位です。候補Aはアクセス面では有利ですが、総合的な満足度ではBに軍配が上がるでしょう。ぜひBを記事にしてみてください。」
頼んでいない結論が返ってきました。記号で採点され、「軍配が上がる」と勝敗までついています。しかも、ナオさんが車を普段使わないという事情は考慮されていません。この表を見ても、ナオさんは自分で考えられなくなります。
どちらが良いかは、私が決めます。
・おすすめや総合評価を書かないでください
・◎○△などの記号で採点しないでください
・「優位」「軍配が上がる」のような勝敗の言葉を使わないでください
・私が渡した事実だけを、同じ軸で並べてください
表だけ出してください。結論は不要です。
「行き方: A 駅から徒歩3分 / B 駅から車で15分。開いている時間: A 朝7時 / B 朝9時。買えるもの: A 品数は少なめ / B 品数が多い。支払い方法: A 現金のみ / B 電子決済も使える。ほかにできること: A 移住相談の窓口 / B 加工品の売り場。」
比較を頼むと、ほぼ必ず結論が付いてきます。「決めるのは私です」「結論は不要」と最初に書いておくと、表だけが返ってきます。
小さな練習
今、2つで迷っているものを思い浮かべてください。買い物でも、行き先でも、記事のテーマでもかまいません。
それぞれの特徴を3つずつ書き出して、依頼文1を送ります。軸が5つ出てきたら、依頼文2で表にしてもらってください。表を見て、自分がどの軸を重く見ているか気づけたら、この回は完了です。
次へ進む目安
迷ったときに「どの軸で比べているか」を言えたら十分です。ここで作った表の形は、第30回でAIに決めさせず判断材料を出すときにも使います。
次は「メリットとデメリットを整理する」へ進みます。2つを比べるのではなく、1つのことの両面を見る作業です。