旬のいちご特集|全国いちご図鑑

AI活用基本講座

間違いや危ない表現を見つける

第29回 4章 調べものと判断に使う 初級 15分

この回でできるようになること

  • 事実・言いすぎ・誤解・権利・プライバシーの5観点で点検できる
  • 指摘のうち納得したものだけを選べる
  • 直した記事をもう一度点検にかけられる

使うもの

ChatGPT

自分の文章の間違いは、自分では見つけにくいものです。この回では、ナオさんが記事を5つの観点に分けて点検し、公開前のリスクチェックを作ります。

この回で作るもの

5つの観点のリスクチェック

記事を「事実の誤り」「言いすぎ」「読者の誤解」「権利」「プライバシー」の5つに分けて点検した結果を1枚にまとめます。次の記事からは、この5観点をそのまま使い回します。

今回の例

ナオさんが、何を見落としているか分からないまま公開しようとしている

ナオさんは、移住検討中の地域の朝市について記事を書きました。何度も読み返しましたが、読み返すたびに文章に慣れてしまい、かえって違和感が薄れていきます。

記事の下書き(一部)
「毎週日曜の朝市は、地元の人しか知らない穴場です。8時ごろには売り切れるので早めに。出店しているAさんとBさんご夫妻の野菜は特に安く、スーパーの半額くらいです。会場の写真を撮りましたが、お客さんの顔も写っています。移住した人はみんなここで買い物をしているそうです。」
ナオさんが確認したこと
日曜に開催されていること。自分が8時すぎに行ったら数店が閉まっていたこと
止まっている理由
大きな問題はない気がするが、その「気がする」が不安

点検は、観点を分けると見つかる

記事全体を「なんとなく変なところ」で探すと、見つかりません。ナオさんの下書きも、通しで読むと自然です。ところが観点を分けて読むと、それぞれ別の問題が出てきます。

  • 事実の誤り — 確認していないことを事実として書いていないか
  • 言いすぎ — 一部の体験を、いつもそうだと広げていないか
  • 読者の誤解 — 読んだ人が違う行動を取ってしまわないか
  • 権利 — 写真、引用、商標、地図など、他人のものを使っていないか
  • プライバシー — 個人が特定される情報が入っていないか

同じ1文が、複数の観点で引っかかることもあります。「AさんとBさんご夫妻の野菜はスーパーの半額くらい」は、確認していない価格の話であり、同時に個人が特定される書き方でもあります。

AIに任せる部分と自分で見る部分

AIに頼みやすい

  • 観点ごとに、該当しそうな箇所を挙げる
  • なぜ問題になるかを説明する
  • 直した書き方を提案する
  • 問題のない観点を「なし」と答える

自分で見る

  • 指摘が自分の記事に当てはまるかの判断
  • 削るか、書き方を変えるかの選択
  • 写真に写った人への配慮
  • 最終的に公開するかどうか
AIの指摘は判定ではありません

AIは法律の判断をする立場にありません。ここで得られるのは「気をつける場所の候補」です。権利や個人情報で迷いが残るときは、公開を止めて、写っている人や関係者に直接確認してください。

進め方

  1. 記事の下書きを用意する
  2. 5つの観点を指定して、まとめて点検してもらう
  3. 指摘のうち、自分が納得したものだけを選ぶ
  4. 削るか、書き方を変えるかを決める
  5. 直した本文で、もう一度同じ点検にかける

そのまま使える依頼文

1. 5つの観点でまとめて点検する

次の記事を、5つの観点で点検してください。
観点ごとに分けて答えてください。
問題が見つからなかった観点は「該当なし」と書いてください。
無理に指摘を増やさないでください。

観点:
1. 事実の誤り(確認していないことを事実として書いていないか)
2. 言いすぎ(一部の体験を全体に広げていないか)
3. 読者の誤解(読んだ人が違う行動を取らないか)
4. 権利(写真、引用、商標など他人のものを使っていないか)
5. プライバシー(個人が特定されないか)

記事:
毎週日曜の朝市は、地元の人しか知らない穴場です。
8時ごろには売り切れるので早めに。
出店しているAさんとBさんご夫妻の野菜は特に安く、スーパーの半額くらいです。
会場の写真を撮りましたが、お客さんの顔も写っています。
移住した人はみんなここで買い物をしているそうです。

出力例

1. 事実の誤り

  • 「スーパーの半額くらい」 — 価格を比べた記録がなければ書けません
  • 「毎週日曜」 — 休みの週がないか、確認が必要です

2. 言いすぎ

  • 「8時ごろには売り切れる」 — あなたが見たのは、その日に数店が閉まっていたことです。全店が毎回売り切れるとは限りません
  • 「移住した人はみんな」 — 「みんな」は確認できない範囲です

3. 読者の誤解

  • 「地元の人しか知らない穴場」 — 記事にした時点で穴場ではなくなります。また、地元の方が静かに使っている場所であれば、混雑を招く可能性があります
  • 「早めに」 — 何時までに行けばよいのかが分からず、開場前から並ぶ人が出るかもしれません

4. 権利

  • 会場の写真 — 主催者が撮影や掲載を制限している場合があります。掲示や主催者への確認が必要です

5. プライバシー

  • 「AさんとBさんご夫妻」 — 出店者を特定できる書き方です。ご本人の了承が必要です
  • お客さんの顔が写った写真 — 写っている方の了承がなければ、掲載は避けてください

2. 指摘ごとに直した書き方を出してもらう

先ほどの指摘のうち、次の3つについて、直した書き方を出してください。
削る案と、書き方を変える案の両方を出してください。
どちらを選ぶかは私が決めます。

・「8時ごろには売り切れるので早めに」
・「移住した人はみんなここで買い物をしているそうです」
・「AさんとBさんご夫妻の野菜は特に安く、スーパーの半額くらいです」

出力例

「8時ごろには売り切れるので早めに」

  • 削る案: この一文をなくす
  • 書き換え案: 「わたしが8時すぎに行ったときは、閉まっている店もありました。時間帯によって品ぞろえが変わるようです。」

「移住した人はみんなここで買い物をしているそうです」

  • 削る案: この一文をなくす
  • 書き換え案: 「地域の方に伺ったところ、日常的に利用している人もいるとのことでした。」(誰に聞いたか記録がある場合のみ)

「AさんとBさんご夫妻の野菜は特に安く、スーパーの半額くらいです」

  • 削る案: 出店者と価格の比較をどちらもなくす
  • 書き換え案: 「野菜を扱う店が何軒か出ていました。価格は日によって変わります。」

3. 写真の扱いを整理する

記事に使いたい写真が3枚あります。
それぞれ、公開してよいかを判断するために、
自分が確認すべきことをリストにしてください。
法律の判断ではなく、確認の手順として書いてください。

1. 会場全体の写真。10人ほどのお客さんの顔が写っている
2. 出店者の方が野菜を並べている写真。顔がはっきり写っている
3. 買った野菜を自宅で撮った写真。人は写っていない

出力例

1. 会場全体(お客さんの顔あり)

  • 会場に撮影に関する掲示がなかったか思い出す。主催者に撮影と掲載の可否を確認する
  • 掲載するなら、顔が判別できない加工をするか、人が写っていない構図に差し替える

2. 出店者の方(顔あり)

  • 撮影時に了承を得たか確認する。得ていなければ掲載しない
  • 了承を得る場合は、どのブログにどう載せるかを伝えてから改めて確認する

3. 自宅で撮った野菜

  • 背景に住所や表札、宅配の伝票などが写り込んでいないか確認する
  • 問題がなければ、そのまま使えます

4. 直した記事をもう一度点検する

指摘をふまえて書き直しました。
同じ5つの観点でもう一度点検してください。
問題がなければ「該当なし」と答えてください。
新しい問題が増えていないかも見てください。

書き直した記事:
日曜の朝に開かれている朝市に行ってきました。
わたしが着いたのは8時すぎで、すでに閉まっている店もありました。
野菜を扱う店が何軒か出ていました。
開催日は変わることがあるため、お出かけ前に主催者の案内をご確認ください。
写真は、人が写っていないものだけを載せています。

出力例

  • 1. 事実の誤り — 該当なし。ご自身が見たことと、確認をうながす案内に整理されています
  • 2. 言いすぎ — 該当なし。「みんな」「必ず売り切れる」といった広げた表現がなくなりました
  • 3. 読者の誤解 — 該当なし。開催日の確認をうながす一文があります
  • 4. 権利 — 該当なし。ただし、主催者が撮影自体を制限している場合は、写真の使用可否を別途ご確認ください
  • 5. プライバシー — 該当なし。個人を特定する記述と人物写真がなくなりました

新しく増えた問題は見当たりません。価格のように変わりやすい情報は、確認した日付や出どころを書けない場合は入れない判断で問題ありません。

5. 自分の記事で出やすい癖を知る

今回の点検で出た指摘を並べます。
この中から、私が繰り返しやってしまいそうな癖を3つにまとめてください。
次から自分でチェックできるよう、短い確認文の形にしてください。

指摘:
確認していない価格を書いた
一度見た様子を「いつもそう」と書いた
「みんな」と書いた
個人が特定できる呼び方をした
人が写った写真を確認なしで使おうとした

出力例

  1. 一度の体験を、いつものことに広げていないか — 「毎回」「いつも」「必ず」と書きそうになったら、自分が何回見たかを思い出す
  2. 数字を、確認せずに書いていないか — 価格、時間、人数は、記録があるものだけ書く
  3. 人が特定できる書き方をしていないか — 名前、呼び名、顔写真は、了承を得たものだけ使う

この3つを記事の末尾にメモとして置いておくと、公開前に短時間で見返せます。

出力をレビューする

  • 指摘が、自分の記事の実際の箇所を指しているか
  • 問題のない観点まで、無理に指摘されていないか
  • 直した案が、事実を減らしすぎていないか
  • 権利とプライバシーの指摘を、自分で確認できる形になっているか
  • 直したあとに、新しい問題が増えていないか

返事が使いにくかったときの直し方

微妙な出力の例

「全体的に読みやすく、大きな問題は見当たりません。強いて言えば、もう少し詳しい情報があると読者に親切です。写真については、一般的に問題ないと思われます。」

これでは点検になっていません。観点ごとに分かれておらず、「大きな問題はない」で済まされています。写真の「一般的に問題ない」は推測で、確認の手順も示されていません。ナオさんが知りたいのは、どこを見るべきかです。

まとめた感想ではなく、観点ごとに分けて答えてください。

・5つの観点を見出しにして、それぞれ別に書いてください
・指摘するときは、記事のどの一文かを引用してください
・問題がない観点は「該当なし」とだけ書いてください
・写真については、判断ではなく、私が確認すべき手順を書いてください
・「一般的に」で始まる推測は書かないでください
直したあとの出力

「1. 事実の誤り: 『スーパーの半額くらいです』 — 価格を比べた記録が必要です。2. 言いすぎ: 『8時ごろには売り切れる』 — 一度の訪問から全体を述べています。3. 読者の誤解: 該当なし。4. 権利: 写真について、会場の撮影に関する掲示の有無と、主催者への確認をお願いします。5. プライバシー: 『AさんとBさんご夫妻』 — 個人が特定される書き方です。」

「観点ごとに分ける」「該当箇所を引用させる」「問題なしと言わせてよい」の3つを指定すると、点検が具体的になります。この3点は、次の記事でもそのまま使えます。

小さな練習

公開前の記事、または公開済みの記事を1本選んでください。依頼文1をコピーして、記事部分だけ自分のものに差し替えて送ります。

返ってきた指摘のうち、自分が納得したものだけに印を付けてください。全部直す必要はありません。1つでも直せたら、この回は完了です。

次へ進む目安

「なんとなく不安」を、5つのうちどれの不安かに分けられたなら十分です。この5観点は、第36回で公開手順書に組み込み、第39回で自分のAI利用ルールを作るときの材料にもなります。

次は「AIに決めさせず判断材料を出す」へ進みます。点検が終わった記事を、公開するかどうか自分で決める段階に入ります。

同じブラウザ内に進捗を保存します。

更新メモ

2026-08-08 新方針でリライト