頭の中の雰囲気をそのまま伝えても、狙った画像にはなかなか近づきません。この回では、ユイさんが5つの要素に分けて指示を書き、そのまま使える画像生成の依頼文を作ります。
この回で作るもの
そのまま貼れる画像生成の依頼文
用途、主役、構図、色と光、避ける要素の5つを書き込んだ依頼文を1本作ります。あわせて、毎回付ける「避ける要素」の定型文も残します。
今回の例
ユイさんが、生成した画像を何度も作り直している
ユイさんは、栗のお菓子を紹介する記事のアイキャッチを作ろうとしています。「和菓子 秋 おいしそう」と入れて何度か生成しましたが、出てくるのは記事と関係のない洋菓子だったり、読めない文字が入った画像だったりします。
- 作りたい画像の用途
- ブログ記事の一番上に置くアイキャッチ。横長。スマホでは幅いっぱいに表示される
- 記事の内容
- 和菓子屋のモーニングに間に合わなかった日の記録。かわりに頼んだ厚切りトーストと、持ち帰った栗どら焼きの話。落ち着いた調子の記事
- これまで入れた指示
- 「和菓子 秋 おいしそう」
- 止まっている理由
- 何を書き足せば近づくのか分からず、単語を増やしたり減らしたりしている
短い指示では、AIが勝手に決める場所が多すぎる
「和菓子 秋 おいしそう」という指示には、決まっていないことがたくさんあります。何が主役か、どこから見た構図か、明るいのか暗いのか、背景に何を置くか。決めていない部分は、AIが毎回違う答えで埋めます。だから生成のたびに結果が変わります。
逆に言えば、決める場所を5つに分けて書けば、結果は安定します。
- 用途 — 何に使う画像か。横長か縦長か。文字を載せる余白が要るか
- 主役 — 画面の中心に何を置くか。1つに絞る
- 構図 — 真上から、斜め上から、横から。寄りか引きか
- 色と光 — 全体の色の方向。明るさ。光の向き
- 避ける要素 — 入れてほしくないもの
実在のロゴ、実在の人物、既存のキャラクター、店名の看板、読める文字。これらは、意図せず入り込むと権利やブランドの誤解につながります。指示していなくても出てくることがあるため、毎回明示して外します。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- 記事の内容から、主役の候補を出す
- 構図と光の指示を言葉にする
- 5要素に分けた依頼文にまとめる
- 避ける要素の定型文を作る
自分で見る
- 生成された画像が記事の内容と合っているか
- 実在のロゴ、人物、キャラクターが写り込んでいないか
- 実際の商品と違う形になっていないか
- 使っているツールの利用規約(商用利用の可否)
生成した画像をブログに載せてよいか、収益のあるサイトで使えるかは、ツールごとに条件が違います。条件は変わることもあるため、使う前に各ツールの公式の利用規約を必ずご確認ください。AIに規約の内容を尋ねても、確認にはなりません。
進め方
- 記事の内容から、主役を1つに決める
- 用途(サイズ、文字を載せる余白)を決める
- 構図と色と光を言葉にする
- 避ける要素の定型文を末尾に付ける
- 生成した画像を記事に並べて、合っているか確かめる
そのまま使える依頼文
1. 記事から主役を1つに絞る
ブログ記事のアイキャッチを作ります。
記事の内容から、画像の主役にする候補を3つ挙げてください。
それぞれ、主役にした場合に画面がどう見えるかも一行で書いてください。
記事の内容:
和菓子屋のモーニングに間に合わなかった日の記録。
かわりに頼んだ厚切りトーストが良かった。
栗どら焼きは持ち帰った。皮はふんわり、栗は大きめ、あんは甘さ控えめ。
落ち着いた調子の記事。
出力例
- どら焼きの断面 — 栗の大きさが伝わります。記事の中心が味の話なので、内容と合います
- 皿に乗ったどら焼きと湯のみ — 食べている場面が伝わります。落ち着いた調子に近づきます
- 和菓子屋の店先の雰囲気 — 季節感は出ますが、記事の中心である味の話からは離れます
記事の中心が味であれば、1か2が合います。1は情報が伝わりやすく、2は雰囲気が出ます。
2. 5要素に分けた依頼文を作る
画像生成AIに送る依頼文を作ってください。
次の5つに分けて書いてください。
・用途: ブログ記事の横長アイキャッチ。左側に文字を載せるので余白がほしい
・主役: 皿に乗った栗どら焼き1個と、隣に湯のみ
・構図: 斜め上から。少し寄り気味
・色と光: 落ち着いた色。自然光。強い影は避ける
・避ける要素: 実在のロゴ、実在の人物、既存のキャラクター、店名の看板、読める文字
そのままコピーして貼れる形にしてください。
出力例
横長のブログ用アイキャッチ画像。
主役は、白い小皿に乗った栗どら焼きが1個と、その右隣に置かれた湯のみ。
斜め上から見た構図。少し寄り気味で、どら焼きの厚みが分かるように。
画面の左側は木のテーブルの余白を広めに取り、文字を載せられるようにする。
色は落ち着いた茶色と生成りが中心。窓からの自然光でやわらかい影。
背景はぼかす。
文字、看板、ロゴ、人物、既存のキャラクターは画面に入れない。
この形なら、次回から主役と構図の行だけ書き換えて使い回せます。
3. 避ける要素の定型文を作る
画像生成の依頼文の末尾に、毎回付ける定型文を作ってください。
意図せず入り込むと困るものを外したいです。
理由も一行ずつ添えてください。
食べものや店を扱う記事で使います。
出力例
定型文
次のものは画面に入れないでください。
・実在する企業や店のロゴ、商標
・実在する人物、有名人に似た人物
・既存の作品のキャラクター
・読める文字、看板、値札、のぼり
・特定の店舗を示す外観や内装
理由
- ロゴや商標 — 実在の企業と関係があるように見えてしまいます
- 実在の人物 — 本人の許可なく使うことになります
- キャラクター — 他の方の作品にあたります
- 読める文字 — 画像生成では崩れることが多く、意図しない語が出ることがあります
- 特定の店舗 — 実際の店と違う内容を伝えてしまう可能性があります
4. 出てきた画像から指示を直す
先ほどの依頼文で画像を作ったところ、次の点が思っていたものと違いました。
・どら焼きが3個並んでしまった
・全体が暗く、夜のような色になった
・左側の余白がなく、中央に主役が来てしまった
この3点を直すために、依頼文のどこをどう書き換えればよいか教えてください。
書き換えた依頼文も出してください。
出力例
書き換える箇所
- 個数 — 「1個」だけでは複数になることがあります。「どら焼きはちょうど1個だけ。他の菓子は置かない」と、置かないものまで書きます
- 明るさ — 「自然光」だけでは時間帯が定まりません。「昼間の明るい室内」と時間を足します
- 余白 — 「左側に余白」より「主役を画面の右寄りに配置し、左3分の1は何も置かない」と位置で指定します
書き換えた依頼文
横長のブログ用アイキャッチ画像。
主役は、白い小皿に乗った栗どら焼き。ちょうど1個だけ。他の菓子は置かない。
主役は画面の右寄りに配置し、左3分の1は木のテーブルのままにして何も置かない。
斜め上から見た構図。どら焼きの厚みが分かるように。
昼間の明るい室内。窓からの自然光。影はやわらかく。
色は落ち着いた茶色と生成りが中心。背景はぼかす。
文字、看板、ロゴ、人物、既存のキャラクターは画面に入れない。
5. 使う前の確認事項を出す
生成した画像をブログのアイキャッチに使う前に、
自分で目視するべき点をリストにしてください。
記事は、実在する和菓子屋で買った商品の紹介です。
規約の判断ではなく、私が画像を見て確認できることに絞ってください。
出力例
- ロゴや商標に見えるものが写り込んでいないか(包装紙の柄、湯のみの模様も確認)
- 文字らしきものが入っていないか。入っていたら、読める文字でも崩れた文字でも使わず、生成し直す
- 人物や、人物の手が写っていないか
- 実際に買った商品と、形や色が大きく違わないか
- 実在の店の内装に見える特徴がないか
- 記事の内容と画像が食い違っていないか(洋菓子になっていないかなど)
- スマホの幅で表示したとき、主役が切れないか
あわせて、記事の中で「画像はイメージです」と添えるかどうかも検討してください。実際の商品写真がある場合は、そちらを優先すると誤解が減ります。
出力をレビューする
- 5つの要素がすべて書き込まれているか
- 避ける要素の定型文が末尾に付いているか
- 主役が1つに絞られているか
- 記事の内容と、画像の中身が合っているか
- 実際の商品と大きく違う画像になっていないか
返事が使いにくかったときの直し方
「秋の風情漂う老舗和菓子店の店先。暖簾には店名が染め抜かれ、着物姿の女性店主が笑顔で栗どら焼きを差し出している。温かみのあるノスタルジックな雰囲気で。」
雰囲気はありますが、そのままでは使えません。暖簾の店名は読める文字であり、実在の店と誤解される要素です。人物が入っているうえ、「老舗」という記事にない設定まで足されています。そして、記事の中心である栗どら焼きの断面は消えました。
この依頼文は使えません。3点直してください。
・暖簾の店名など、読める文字を入れないでください
・人物を入れないでください
・「老舗」など、記事に書いていない設定を足さないでください
主役は皿に乗った栗どら焼き1個です。
店の様子ではなく、商品そのものが分かる画像にしてください。
「白い小皿に乗った栗どら焼きが1個。斜め上から見た構図で、皮の厚みと中の栗が見える。昼間の明るい室内、窓からの自然光。落ち着いた茶色と生成りの色合い。背景はぼかす。文字、看板、ロゴ、人物は画面に入れない。」
雰囲気の言葉を減らし、見えるものの指定に変えると安定します。「〜な雰囲気で」だけの指示は、AIが自由に決める場所を増やしてしまいます。
小さな練習
これから書く記事、または最近書いた記事を1本選び、その主役になるものを1つ決めてください。食べもの、風景、道具など、何でもかまいません。
依頼文2をコピーして、5つの項目を自分の記事のものに書き換えます。書き換えた依頼文を保存すれば、この回は完了です。実際に生成するのは、使っているツールの利用規約を確認してからで大丈夫です。
次へ進む目安
「おいしそうな画像」ではなく「何をどこから撮った画像か」を言葉にできたなら十分です。ここで作った依頼文と避ける要素の定型文は、次の第34回でアイキャッチの案を考えるときにそのまま使います。
次は「アイキャッチ案を具体化する」へ進みます。今回は書き方を作りました。次は、記事の内容から案そのものを考えます。