検索を意識して言葉を並べると、文章が不自然になります。この回では、ナオさんが読者の疑問という形で言葉を広げます。
この回で作るもの
質問文の形をした読者の疑問リスト
単語の羅列ではなく、読者が実際に口にしそうな疑問を10個作ります。そのうち、記事で答えられるものを選んで見出しや本文に反映します。
今回の例
ナオさんの文章が、単語で埋まっている
ナオさんは、検索から読まれたいと思いました。そこで関連しそうな言葉を調べ、本文に入れていきました。読み返すと、日本語として不自然です。それでも「入れたほうがいいのかも」と思って消せません。
- 書いた文
- 「みどり町 直売所 営業時間 アクセス 駐車場 について紹介します。みどり町 直売所 おすすめ をお探しの方は必見です。みどり町 直売所 野菜 安い という声も多いです。」
- 入れた言葉
- 営業時間、アクセス、駐車場、おすすめ、野菜、安い
- 気になっていること
- 自分で読んでも意味が分からない。でも消すと検索されない気がする
- 止まっている理由
- キーワードは詰め込むものだと思っている
読者は単語ではなく、疑問を持っています
検索窓に単語を入れる人も、頭の中では文で考えています。「みどり町 直売所 営業時間」と打つ人は、「何時から開いているんだろう」と思っています。
記事に必要なのは、単語を並べることではなく、その疑問に答えることです。「朝7時に開きます」と書けば、単語も自然に入り、しかも読む人の役に立ちます。単語だけ並べた文は、どちらも満たしません。
- 単語を並べても、答えが書いていなければ役に立たない
- 不自然な日本語は、読んだ人がすぐ離れる
- 「必見」「〜という声も多い」は、確かめていない誇張になりやすい
- 入れた言葉に答えられないと、読者の期待を裏切る
検索の仕組みや順位の上げ方は扱いません。仕様は変わりますし、断定できることが少ない分野です。ここで扱うのは、読む人が使う言葉で書くという1点だけです。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- 単語を疑問文に変える
- 読者が口にしそうな聞き方を出す
- 記事で答えられるかを整理する
- 不自然な箇所を指摘する
自分で見る
- その疑問に答えられる材料があるか
- 実際に本文へ入れるかどうか
- 日本語として自然かどうか
- 確かめていないことを書いていないか
進め方
- 記事のテーマと読者像を渡す
- 読者が口にしそうな疑問を10個出してもらう
- 記事で答えられるものを選ぶ
- 答えを本文に書く
- 不自然な単語の羅列を削る
そのまま使える依頼文
1. 読者の疑問を質問文で出す
地域の直売所について記事を書きます。
読む人は、移住を検討していて、その地域に土地勘がない人です。
この人が口にしそうな疑問を10個挙げてください。
・単語の羅列ではなく、質問文の形にしてください
・実際に人が言いそうな言い方にしてください
・専門的な言い方は避けてください
出力例
- 朝は何時から開いているの
- 日曜もやっているの
- 駅から歩いて行ける距離なの
- 車がないと不便かな
- 野菜はスーパーより安いの
- 毎日行っても、ちゃんと品物はあるの
- 冬も営業しているの
- カードや電子マネーは使えるの
- 袋は持っていったほうがいいの
- 観光客が行っても大丈夫な雰囲気なの
10番目は、記事に直接は書きにくい疑問ですが、書き方の調子に影響します。
2. 答えられるものを選ぶ
10個の疑問のうち、私が答えられるものを分けてください。
【私が確かめたこと】
・朝7時開店(店頭の掲示で確認)
・駅から徒歩3分(自分で歩いた)
・現金のみ(レジ横の掲示で確認)
・袋は自分で用意(その場で気づいた)
・訪ねたのは午前中、3回
「答えられる」「確認すれば答えられる」「答えられない」の3つに分けてください。
出力例
答えられる
- 朝は何時から開いているの(7時)
- 駅から歩いて行ける距離なの(徒歩3分)
- カードや電子マネーは使えるの(現金のみ)
- 袋は持っていったほうがいいの(用意が必要)
確認すれば答えられる
- 日曜もやっているの(定休日の確認が必要)
- 冬も営業しているの(冬期の営業を電話で確認)
- 野菜はスーパーより安いの(同じ野菜の価格を両方で見る必要あり)
答えられない
- 車がないと不便かな — 何を買うかによります。書くなら、駅から3分という事実だけにとどめてください
- 毎日行っても品物はあるの — 3回の訪問では判断できません
- 観光客が行っても大丈夫な雰囲気なの — 感じ方に幅があり、断定できません
3. 答えを本文の形にする
「答えられる」に分けた4つの疑問に、本文で答える文を書いてください。
・単語を詰め込まないでください
・自然な日本語にしてください
・私が確かめたこと以外は書かないでください
・4つを1つの段落にまとめてください
出力例
「直売所は朝7時に開きます。駅からは歩いて3分ほどで、荷物が多くなければ徒歩でも十分行ける距離です。支払いは現金のみで、レジ横にもその旨の掲示がありました。買い物袋は用意されていないため、持参をおすすめします。」
「営業時間」「アクセス」「支払い」「袋」の話が、それぞれ答えの形で入っています。単語を並べていませんが、内容としては読者の4つの疑問に答えています。
4. 不自然な羅列を指摘してもらう
以前書いた部分に、不自然な箇所がある気がします。
指摘してください。書き直しはそのあとにお願いします。
文:
みどり町 直売所 営業時間 アクセス 駐車場 について紹介します。
みどり町 直売所 おすすめ をお探しの方は必見です。
みどり町 直売所 野菜 安い という声も多いです。
出力例
- 1文目 — 単語が助詞なしで並んでいます。「営業時間」「アクセス」「駐車場」を紹介すると書かれていますが、駐車場については本文に記述がありません
- 2文目 — 「お探しの方は必見です」は、内容を示さずに読者をあおる言い方です。何が書いてあるのかが伝わりません
- 3文目 — 「という声も多いです」は、誰の声か示されていません。確認していない評判を書いたことになります。また、価格を比べた記録がなければ「安い」も書けません
3文とも、読者の疑問に答えていません。単語は入っていますが、答えがない状態です。
5. 見出しに疑問を反映する
読者の疑問を、記事の見出しに反映したいです。
答えられる4つの疑問から、見出しを作ってください。
・疑問文のままの見出しにはしないでください
・答えが分かる見出しにしてください
・15字前後にしてください
・見出しは3つまでにまとめてください
出力例
- 朝7時開店、駅から徒歩3分
「何時から」「駅から歩けるか」の2つに答えています - 支払いは現金のみ
「カードは使えるか」に答えています - 買い物袋は持っていく
「袋は必要か」に答えています
見出しを疑問文にすると、読む人は答えを探して読むことになります。答えを見出しに置くと、目次を見ただけで分かります。
出力をレビューする
- 疑問が、実際に人が言いそうな言い方になっているか
- 答えられない疑問を、答えたふりで書いていないか
- 単語が助詞なしで並んでいないか
- 確かめていない評判(「〜という声も多い」)を書いていないか
- 読み返して、日本語として自然か
返事が使いにくかったときの直し方
「関連キーワードを整理しました。メイン:みどり町 直売所。サブ:営業時間/アクセス/駐車場/野菜/安い/おすすめ/口コミ/評判。これらを見出しと本文に3〜5%の密度で配置し、共起語も意識して自然に散りばめてください。」
単語のリストが返ってきました。しかも「密度3〜5%」という指示は、ナオさんが今やって失敗したことそのものです。「口コミ」「評判」は、ナオさんが確かめていない情報なので、答えようがありません。読者の疑問という形になっていないので、何を書けばよいかも分かりません。
単語のリストではなく、読者の疑問を出してください。
・単語ではなく、質問文の形にしてください
・密度や配置の話は不要です。それをやって不自然になりました
・私が答えられない疑問(口コミ、評判)は挙げないでください
・実際に人が口にしそうな言い方にしてください
10個までで、質問文だけ並べてください。
「1. 朝は何時から開いているの 2. 日曜もやっているの 3. 駅から歩いて行ける距離なの 4. 車がないと不便かな 5. 野菜はスーパーより安いの 6. 冬も営業しているの 7. カードは使えるの 8. 袋は持っていったほうがいいの」
言葉を広げる作業を頼むと、単語のリストと配置の指示が返ってきがちです。「質問文の形で」「密度の話は不要」と伝えると、本文に使える形になります。
小さな練習
書きかけの記事、または書く予定の記事のテーマを決めてください。読者は、第26回で決めた人でかまいません。
依頼文1を送って、読者の疑問を10個出してもらいます。次に依頼文2で、自分が答えられるものを分けてもらってください。答えられる疑問が3つ以上見つかれば、この回は完了です。
次へ進む目安
言葉を増やすときに「これは読者の疑問に答えているか」と確かめられたら十分です。ここで作った疑問リストは、第31回で記事の構成を作るとき、第35回でメタ説明を書くときに使えます。
次は「間違いや危ない表現を見つける」へ進みます。書き上げた記事を、公開前に点検します。