うまくいったやり方ほど、時間がたつと思い出せません。この回では、ミカさんが1週分の記録をノートの形にして、1章のまとめとします。
この回で作るもの
1週分のAI活用ノート
使った依頼文、その結果、次に直したいことを1枚にまとめます。書くのに1回1分で済む形にして、続けられる分量に抑えます。
今回の例
ミカさんが、先々週の成功を再現できない
ミカさんは、ある日とてもうまく書けた導入文がありました。頼み方を少し変えたのが良かったはずです。ところが2週間後、同じことをしようとして、何を変えたのか思い出せませんでした。
- この2週間でやったこと
- 導入文を3案作った / メールの返信を整えた / 確認が必要な情報を洗い出した / 型を3つ作った
- 覚えていること
- 「何かの条件を足したら、急に使える文になった」ということだけ
- 過去に試した記録
- 1度だけノートを作ったが、書く項目が8つあって3日でやめた
- 止まっている理由
- 記録したい気持ちはあるが、続く形が分からない
記録は、量より項目の少なさ
ミカさんが前に作ったノートは、日付、使ったAI、目的、依頼文、出力、評価、改善点、次回の予定と8項目ありました。1回書くのに10分かかり、3日でやめました。
続く記録は、1回1分で終わります。書くのは3つだけです。送った文、結果、次に直すこと。これ以外は書きません。評価も点数も要りません。
- 項目が多いと、書くこと自体が作業になる
- 「良かった/悪かった」の評価は、あとで読んでも役に立たない
- 依頼文をそのまま残していないと、再現できない
- 毎回書こうとすると続かない。うまくいった回だけでよい
第1回から第10回で、頼む、直す、残す、選ぶ、守る、型にする、記録するの7つができるようになりました。この回のノートは、第37回で自分のプロンプト集に育ちます。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- 会話から使った依頼文を拾い出す
- 3項目の形に整理する
- 項目が多すぎるときに削る
- 次に直すことを1つに絞る
自分で見る
- 本当にうまくいった回かどうか
- 1分で書ける分量か
- 保存先を決めること
- 続けるかどうかの判断
進め方
- この1週間で使った会話を開く
- 送った依頼文を拾い出してもらう
- 3項目の形に整理してもらう
- 1枚にまとめて保存する
- 次に書くタイミングを決める
そのまま使える依頼文
1. 会話から依頼文を拾い出す
この会話の中で、私が送った依頼文をすべて拾い出してください。
・私の言葉をそのまま残してください。要約しないでください
・返事が良くなった依頼文には印を付けてください
・どこが効いたと思うかも、一行ずつ書いてください
出力例
- 「次のメモをもとに、ブログ記事の導入文を3案作ってください」
基本の依頼です。案は出ましたが、3つとも似た内容でした - 印 「3案は、書き出しだけでなく、最初に伝える情報も変えてください」
これが効きました。味・場面・価格と、案ごとに切り口が変わりました - 印 「言い換えるのではなく削ってください。素材より情報を増やさないでください」
足された表現が戻らなくなりました - 「もう少し短くしてください」
短くはなりましたが、どこを削るかは指定していないため、残したい部分も消えました
効いたのは2と3です。どちらも「してほしくないこと」を具体的に書いた依頼文でした。
2. 3項目のノートに整理する
拾い出した依頼文のうち、印を付けた2つをノートにしてください。
書く項目は3つだけです。
1. 送った文(そのまま)
2. 結果(何が変わったか、一行)
3. 次に直すこと(一行。なければ「なし」)
評価や点数は書かないでください。
1件あたり4行以内にしてください。
出力例
◆ 送った文
「3案は、書き出しだけでなく、最初に伝える情報も変えてください」
結果: 案ごとに切り口が変わった(味・場面・価格)
次に直すこと: なし
◆ 送った文
「言い換えるのではなく削ってください。素材より情報を増やさないでください」
結果: 足された表現が別の言葉で戻らなくなった
次に直すこと: 削ったあとに説明が足りなくなる。質問させる一文を足す
2件で8行です。書き写すだけなら1分かかりません。
3. 項目が多すぎるときに削る
以前、次の8項目でノートを作って続きませんでした。
日付、使ったAI、目的、依頼文、出力、評価、改善点、次回の予定
このうち、なくても困らない項目を挙げてください。
なぜ困らないかも書いてください。
残す項目は3つまでにしてください。
出力例
なくても困らない項目
- 日付 — ファイルの並び順で分かります。書く必要はありません
- 使ったAI — 1つに絞って使っているうちは不要です。増えたら足してください
- 目的 — 依頼文の中に書かれています。重複します
- 出力 — 全文を残すと長くなり、読み返さなくなります。「結果」の一行で足ります
- 評価 — あとで読んでも次の行動につながりません
残す3項目: 依頼文、結果、次に直すこと
8項目のうち5つは、他の項目と重なるか、読み返さない情報でした。
4. 書くタイミングを決める
ノートを書くタイミングを決めたいです。
・毎回書くのは続きませんでした
・書き忘れると、そのままやめてしまいます
いつ書くかの案を3つ出してください。
それぞれ、続かなくなったときにどうなるかも書いてください。
出力例
- 返事が良かったと感じたその場で書く
書く回数は少なくなりますが、記録が残るのは価値のある回だけです。忘れても、次に良い返事が来たときにまた書けます - 週に1回、決まった曜日にまとめて書く
会話をさかのぼる手間がかかります。1週飛ばすと、2週分をさかのぼることになり重くなります - 会話を閉じるときに書く
回数は多くなりますが、記憶が新しいうちに書けます。ただし、価値のない回も記録に残ります
1が続きやすい形です。書かない日があっても、記録として欠けたことになりません。
5. 1章で身についたことを確かめる
この2週間で、AIの使い方について私ができるようになったことを整理してください。
やったことは次のとおりです。
作業を分けた / 最初の一言を送った / 5分の作業に割った /
返事を直してもらった / 会話に名前を付けた / 目的からツールを選んだ /
入れない情報を決めた / 確認が必要な箇所を出した / 型を3つ作った
できるようになったことと、まだ不安なことに分けてください。
褒める言葉は不要です。
出力例
できるようになったこと
- 大きな作業を、今日始められる大きさに分けられる
- 返事が合わないとき、どこが違うかを3点に分けて伝えられる
- 入力してよい情報と伏せる情報を、その場で判断できる
- AIの回答から、確認が必要な箇所を抜き出せる
- 毎回同じ条件を書き直さずに済む型を持っている
まだ不安なこと
- 文章そのものを書く作業は、まだ数回しか試していません
- 公開前の点検は、確認項目を出すところまでで、実際の確認は残っています
不安な2つは、この先の章で扱う内容です。今の時点で不足しているわけではありません。
出力をレビューする
- 依頼文が、要約されずそのまま残っているか
- 1件あたり4行以内に収まっているか
- 評価や点数が混ざっていないか
- 次に直すことが、動作で書かれているか
- 書くのに1分かからない分量か
返事が使いにくかったときの直し方
「学習記録テンプレートをご提案します。【日付】【学習項目】【使用ツール】【入力プロンプト】【出力結果】【気づき】【自己評価(5段階)】【次回の目標】【振り返りコメント】。継続することで成長が可視化され、モチベーション維持にもつながります。」
ミカさんが前に挫折したノートと、ほぼ同じ形が返ってきました。項目は9つに増えています。「自己評価5段階」も「モチベーション」も、ミカさんが求めたものではありません。続かなかった理由を伝えたのに、同じ方向の提案になっています。
この形は、私が前に挫折したものとほぼ同じです。
・項目は3つまでにしてください
・自己評価や点数は入れないでください
・モチベーションや成長の話は不要です
・1件を書くのに1分以上かかる形にしないでください
残すのは、送った文、結果、次に直すことの3つだけです。
「3項目に絞りました。◆送った文(そのまま)/ 結果(一行)/ 次に直すこと(一行)。1件4行以内です。書かない日があっても、記録として欠けたことにはなりません。」
記録の形を頼むと、項目の多い雛形が返ってきがちです。挫折した経験を伝えるだけでなく、「項目は3つまで」と数で指定すると止まります。
小さな練習
この2週間で、AIに送って「うまくいった」と感じた依頼文を1つ思い出してください。会話をさかのぼって探しても大丈夫です。
見つけたら、その文をそのままメモアプリに貼り、下に2行足します。何が変わったか、次に直したいことは何か。3行書けたら、この回は完了です。
次へ進む目安
うまくいった依頼文を1つ、探せる場所に残せたら十分です。ここまでで1章は終わりです。ノートは第37回で、型やチェックリストと合わせてプロンプト集になります。
次の第11回からは、ハルさんという別の方が登場します。ここからは、文章を作る作業を1つずつ進めていきます。