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AI活用基本講座

AIっぽい文章を自分の声に戻す

第19回 3章 文章を作る 初級 14分

この回でできるようになること

  • AIっぽさの特徴を具体的に挙げられる
  • 過去の文章から自分の文体メモを作れる
  • 文体メモを条件にして書き直させられる

使うもの

ChatGPT

AIが直した文章は読みやすいのに、なぜか自分が書いたものに見えない。この回では、ハルさんが「AIっぽさ」の正体を見つけて、自分の文体に戻します。

この回で作るもの

自分の文体メモと、戻した文章

過去の自分の文章から特徴を7項目ほど取り出した「文体メモ」を作り、それを条件にしてAIの文章を書き直します。文体メモは、これ以降の依頼文に毎回貼って使います。

今回の例

ハルさんが、直してもらった文章に違和感を持っている

ハルさんは、喫茶店の記事の一段落をAIに整えてもらいました。読みやすさは上がりました。それなのに、公開ボタンを押す気になれません。自分の記事に並べたとき、そこだけ他人の文章に見えるのです。

自分で書いた元の文
「駅から歩いて7分くらい。看板が小さいので、一度通り過ぎました。中に入ると席は6つだけで、豆を挽く音がずっと聞こえています。ブレンドを頼みました。酸味は抑えられていて、わたしには飲みやすかったです。」
AIが整えた文
「駅から徒歩約7分。小さな看板が目印の隠れ家的な喫茶店です。店内はわずか6席。豆を挽く音が心地よく響く空間で、ブレンドコーヒーをいただきました。程よく抑えられた酸味が、優しく口の中に広がります。」
止まっている理由
直された文の方が上手に見えるので、何が嫌なのか自分でも説明できない

AIっぽさは、好みではなく特徴で見分けられる

ハルさんの違和感は気のせいではありません。2つの文を並べると、変わった点を具体的に指摘できます。

  • 体言止めが増える — 「駅から徒歩約7分。」。元の文は「歩いて7分くらい」と話し言葉でした
  • 失敗や迷いが消える — 「一度通り過ぎました」が「小さな看板が目印」に変わりました。書き手の体験が、店の紹介に置き換わっています
  • まとめ言葉が入る — 「隠れ家的な」「心地よく響く空間」。ハルさんが書いていない評価です
  • 丁寧語が一段上がる — 「頼みました」が「いただきました」に。距離が遠くなります
  • 主語が消える — 「わたしには飲みやすかった」という個人の感想が、「優しく口の中に広がります」という一般論になりました
  • 数字の言い方が硬くなる — 「席は6つだけ」が「わずか6席」に
  • 語尾がそろいすぎる — 全文が同じリズムになり、抑揚がなくなります

共通しているのは、書き手の個人的な部分が、読みやすさと引き換えに削られていることです。上手になった代わりに、誰が書いてもよい文章になりました。

AIに任せる部分と自分で見る部分

AIに頼みやすい

  • 自分の過去の文章から特徴を取り出す
  • 2つの文を比べて、変わった箇所を挙げる
  • 文体メモの条件に沿って書き直す
  • 直しすぎた箇所を戻す

自分で見る

  • その特徴を残したいか、直したいかの選択
  • 読みやすさと自分らしさのどちらを優先するか
  • 最後の語尾を決める
全部を戻す必要はない

癖の中には、直したほうが読みやすいものもあります。目的は元通りにすることではなく、どこを残すか自分で選べる状態になることです。

進め方

  1. 自分で書いた過去の文章を2本用意する
  2. AIに、その2本から文体の特徴を挙げてもらう
  3. 残す特徴と直す特徴を自分で選び、文体メモにする
  4. 文体メモを条件にして、AIの文章を書き直してもらう
  5. 最後の語尾だけ自分の手で決める

そのまま使える依頼文

1. 2つの文を比べて、変わった箇所を出す

私が書いた文と、それをAIが整えた文を並べます。
2つを比べて、変わった箇所をすべて挙げてください。
どちらが良いかの評価はしないでください。変化の指摘だけお願いします。

【私が書いた文】
駅から歩いて7分くらい。看板が小さいので、一度通り過ぎました。
中に入ると席は6つだけで、豆を挽く音がずっと聞こえています。
ブレンドを頼みました。酸味は抑えられていて、わたしには飲みやすかったです。

【AIが整えた文】
駅から徒歩約7分。小さな看板が目印の隠れ家的な喫茶店です。
店内はわずか6席。豆を挽く音が心地よく響く空間で、ブレンドコーヒーをいただきました。
程よく抑えられた酸味が、優しく口の中に広がります。

出力例

  • 「歩いて7分くらい」→「徒歩約7分」。話し言葉が書き言葉になりました
  • 「一度通り過ぎました」が削除され、「隠れ家的な喫茶店です」という紹介に置き換わりました
  • 「席は6つだけ」→「わずか6席」。数の言い方が硬くなりました
  • 「ずっと聞こえています」→「心地よく響く空間で」。事実の描写が評価に変わりました
  • 「頼みました」→「いただきました」。敬語の度合いが上がりました
  • 「わたしには飲みやすかったです」→「優しく口の中に広がります」。個人の感想が一般的な描写になり、主語が消えました

2. 過去の文章から自分の特徴を取り出す

私が過去に書いた文章を2本貼ります。
この2本に共通する書き方の特徴を、7個まで挙げてください。
上手かどうかではなく、私の癖として挙げてください。

【1本目】
朝いちばんで行ったのに、もう3人並んでいました。
みたらしは1本90円。焦げ目がしっかりついていて、
たれは思ったより甘くないです。歩きながら食べました。

【2本目】
開店の10時に合わせて行ったのに、目当ての豆大福はもう並んでいませんでした。
かわりに買った草餅は1個140円。
よもぎの香りが強くて、これはこれで満足です。

出力例

  1. 失敗や思い通りにいかなかったことを、最初に書くことが多い
  2. 時刻と価格を具体的な数字で入れる
  3. 「〜です」「〜ました」を混ぜ、体言止めはほとんど使わない
  4. 「思ったより」「これはこれで」など、事前の予想と結果を比べる言い方をする
  5. 味を褒める言葉より、甘さや厚さなど程度の言葉で説明する
  6. 店を評価せず、自分がどうしたかで文を終える
  7. 1文が短い。40字前後で区切っている

3. 文体メモを条件にして書き直してもらう

次の文を、私の文体メモに合わせて書き直してください。

【文体メモ】
・体言止めを使わない
・失敗や思い通りにいかなかったことは削らない
・時刻と価格は具体的な数字で書く
・店を評価せず、自分がどうしたかで終える
・「隠れ家的」「心地よい」など、まとめの評価語を使わない
・1文は40字前後
・感想には「わたしには」を付けて、個人の感想だと分かるようにする

【書き直す文】
駅から徒歩約7分。小さな看板が目印の隠れ家的な喫茶店です。
店内はわずか6席。豆を挽く音が心地よく響く空間で、ブレンドコーヒーをいただきました。
程よく抑えられた酸味が、優しく口の中に広がります。

出力例

「駅から歩いて7分ほどでした。看板が小さくて、一度通り過ぎています。中に入ると席は6つだけです。豆を挽く音がずっと聞こえていました。ブレンドを頼みました。酸味は抑えられていて、わたしには飲みやすかったです。」

体言止めをやめ、通り過ぎた場面を戻しました。「隠れ家的」「心地よく響く」は削り、最後は自分の感想で終えています。

4. 残す癖と直す癖を仕分ける

先ほど挙げてもらった私の癖7個について、
「残したほうが読み手に伝わるもの」と
「直したほうが読みやすくなるもの」に分けてください。

分けた理由も一行ずつ書いてください。
どちらにするかは私が決めるので、両方の見方を書いてください。

出力例

残したほうが伝わるもの

  • 失敗を最初に書く — 読み手が同じ失敗を避けられます。あなたの記事の入り口にもなっています
  • 時刻と価格の数字 — 読み手が実際に行くときに役立ちます
  • 自分がどうしたかで終える — 店を評価しない姿勢が一貫しています

直すと読みやすくなるもの

  • 1文40字の統一 — 短い文が続くと単調に感じられます。時々長い文を混ぜると読みやすくなります
  • 「思ったより」の多用 — 同じ記事に3回以上出ると、比較の基準が曖昧に見えます

残す3つは、あなたの記事の個性そのものです。直す2つは、個性を保ったまま調整できます。

5. AIっぽさが戻っていないか点検する

次の文章を点検してください。
私の文体メモから外れている箇所だけを挙げてください。
外れていなければ「外れなし」と答えてください。書き直しは不要です。

【文体メモ】
体言止めを使わない / 失敗を削らない / 数字は具体的に /
店を評価しない / まとめの評価語を使わない / 感想には「わたしには」を付ける

【点検する文章】
駅から歩いて7分ほどでした。看板が小さくて、一度通り過ぎています。
中に入ると席は6つだけです。落ち着いた雰囲気の名店でした。
ブレンドを頼みました。酸味は抑えられていて、飲みやすかったです。

出力例

外れている箇所は2つです。

  • 「落ち着いた雰囲気の名店でした」 — まとめの評価語にあたります。また、店を評価しない方針からも外れています
  • 「飲みやすかったです」 — 「わたしには」が付いていません。個人の感想だと分かる形になっていません

それ以外の箇所は、文体メモに沿っています。

出力をレビューする

  • 自分の記事の他の段落と並べて、浮いていないか
  • 失敗や迷いが削られていないか
  • 自分が言っていない評価が足されていないか
  • 声に出して読んで、自分の話し方に近いか
  • 読みやすさのために直した部分を、自分で選んだと言えるか

返事が使いにくかったときの直し方

微妙な出力の例

「駅から歩いて7分ほどでした。看板が小さく、一度通り過ぎてしまったのも、今となっては良い思い出です。中に入ると席は6つだけ。豆を挽く音が優しく響きます。ブレンドを頼みました。酸味は控えめで、じんわりと心に染みる一杯でした。」

一見、文体メモを守っているように見えます。しかし「良い思い出です」「じんわりと心に染みる」はハルさんが書いていない感情ですし、「席は6つだけ。」は体言止めです。失敗を残す指示を、失敗を美談にする方向に受け取られています。

3か所、文体メモから外れています。

・「良い思い出です」は、私が書いていない感情です。削ってください
・「じんわりと心に染みる」も同じです。私の感想は「わたしには飲みやすかった」だけです
・「席は6つだけ。」が体言止めになっています

失敗は、良い話にまとめず、起きたことだけ書いてください。
この3点を直して、もう一度お願いします。
直したあとの出力

「駅から歩いて7分ほどでした。看板が小さくて、一度通り過ぎています。中に入ると席は6つだけです。豆を挽く音がずっと聞こえていました。ブレンドを頼みました。酸味は抑えられていて、わたしには飲みやすかったです。」

「失敗を削らない」という指示だけでは、失敗を美談にされることがあります。「起きたことだけ書く」まで足すと安定します。この一文も文体メモに追記しておきます。

小さな練習

自分が過去に書いた文章を2本選び、依頼文2を送ってください。ブログでも、SNSでも、友人へのメッセージでもかまいません。友人へのメッセージを使う場合は、相手の名前、場所、個人的な事情が分かる部分を伏せてから貼ります。

出てきた特徴7個を見て、残したいものに丸を付けます。丸を付けたものだけを並べたものが、あなたの文体メモです。テキストファイルに保存して、次回以降の依頼文の先頭に貼って使ってください。

次へ進む目安

「なんとなく違う」と感じたときに、どこがどう違うかを1つでも言葉にできたなら十分です。ここで作った文体メモは、第20回の公開前チェック、第35回のタイトル作り、第37回のプロンプト集で毎回使います。

次は「公開前の文章チェックをする」へ進みます。自分の声に戻した文章を、公開してよい状態まで確かめます。

同じブラウザ内に進捗を保存します。

更新メモ

2026-08-08 新方針でリライト