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AI活用基本講座

調べる前に質問を作る

第21回 4章 調べものと判断に使う 初級 14分

この回でできるようになること

  • 漠然としたテーマを問いに分けられる
  • 調べれば分かる問いと自分で決める問いを分けられる
  • 調べる順番を決められる

使うもの

ChatGPT

検索の前に、何を知りたいかが決まっていないと、いくら調べても終わりません。この回では、ナオさんが調べる前の問いを作ります。

この回で作るもの

事実と好みに分けた調査質問リスト

調べる前に決めておくべき問いを10個ほど出し、「調べれば分かること」と「自分で決めること」に分けます。調べる範囲がここで決まります。

今回の例

ナオさんが、調べ始めて2時間たっている

ナオさんは移住を考えている地域について記事を書こうとしています。まず調べようと思ってブラウザを開き、2時間たちました。タブは20個開いていますが、何が分かったのか自分でも言えません。

調べたいこと
移住を考えている町の暮らしについて。記事にもしたい
実際に検索した言葉
「みどり町 移住」「みどり町 暮らし」「地方移住 デメリット」「移住 失敗」
開いているタブ
自治体のページ、移住者の体験談、まとめ記事、不動産情報、SNSの投稿
止まっている理由
読むほど不安が増えて、何を知りたかったのか分からなくなった

調べる前に、問いを決める

ナオさんが2時間で疲れたのは、範囲が決まっていないからです。「暮らし」は広すぎます。買い物のことも、病院のことも、雪のことも、人間関係のことも入ります。全部調べようとすれば、終わりが来ません。

先に問いを10個書き出すと、範囲が決まります。しかも、問いを分けてみると、調べても答えが出ないものが混ざっていることに気づきます。

  • 調べれば分かる問い — 最寄りのスーパーまでの距離、ごみの分別、除雪の範囲
  • 調べても分からない問い — 自分がその暮らしを気に入るか、続けられるか
  • 2つを混ぜたまま調べると、答えの出ない問いに時間を使う
  • 不安から検索すると、不安を裏づける記事ばかり読むことになる
検索テクニックの回ではありません

ここで扱うのは、検索の上手なやり方ではなく、調べる前に問いを立てることです。問いが決まっていれば、検索でも人に聞くのでも、答えにたどり着けます。

AIに任せる部分と自分で見る部分

AIに頼みやすい

  • 漠然としたテーマを問いに分ける
  • 問いを事実と好みに分類する
  • 抜けている観点を挙げる
  • 問いに優先順位を付ける

自分で見る

  • 自分が本当に知りたい問いの選別
  • 調べる順番の決定
  • 実際に調べる
  • 調べても分からない問いをどう扱うか

進め方

  1. 調べたいことを、漠然としたままでよいので書く
  2. 問いを10個に分けてもらう
  3. 事実の問いと好みの問いに分けてもらう
  4. 自分が知りたい問いを3つ選ぶ
  5. その3つだけを調べる

そのまま使える依頼文

1. 漠然としたテーマを問いに分ける

移住を考えている町の暮らしについて調べたいです。
ただ、範囲が広すぎて何から調べればいいか分かりません。

「暮らし」を、具体的な問いに分けてください。
10個まででお願いします。
まだ答えは書かないでください。問いだけ並べてください。

出力例

  1. 日常の買い物は、どこまで行けばできるか
  2. 病院はどこにあり、何科まで通えるか
  3. 車がないと生活できないか。公共交通はどれくらいあるか
  4. 冬の除雪は誰がどこまでやるか
  5. ごみの出し方と回収の頻度はどうなっているか
  6. 子どもがいる場合、保育や学校の選択肢はどれくらいあるか
  7. 働き口はどんな種類があるか
  8. 住居はどうやって探すか。空き家の情報はどこにあるか
  9. 地域の行事や当番はどれくらいあるか
  10. 自分がその暮らしのペースを気に入るか

10番目だけ、性質が違う問いです。

2. 事実と好みに分ける

この10個の問いを、次の2つに分けてください。

・調べれば答えが出る問い(事実)
・調べても答えが出ず、自分で決める問い(好み)

分けた理由も一行ずつ書いてください。
好みの問いについては、どうすれば判断できるかも書いてください。

出力例

調べれば答えが出る(事実)

  • 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8 — 自治体の案内、店舗情報、時刻表、募集情報などで確かめられます
  • 7(働き口)は半分です。求人の種類は調べられますが、自分に合うかは別の問いです

調べても答えが出ない(好み)

  • 9(地域の行事や当番) — 回数は調べられますが、負担に感じるかは人によります
  • 10(暮らしのペースを気に入るか) — 他の人の感想は参考にしかなりません

好みの問いの判断方法: 短期滞在や体験住宅を利用して、実際に過ごしてみるのが確実です。移住者の体験談は、その人の条件に依存するため、判断材料の1つにとどめてください。

3. 抜けている観点を出してもらう

この10個の問いに、抜けている観点があれば教えてください。

私の状況は次のとおりです。
・30代 / 一人暮らし / 在宅の仕事が中心
・車の運転はできる
・雪の多い地域に住んだことがない

私の条件で、考えておいたほうがよい問いを3つ足してください。
不安をあおる書き方はしないでください。

出力例

  1. 通信環境はどうか — 在宅の仕事が中心なら、回線の種類と速度が生活に直結します。自治体や事業者の提供エリアで確かめられます
  2. 冬に車を使うために、何が必要か — 運転はできても、雪道は別です。タイヤ、車庫、始動前の除雪など、かかる手間と費用を調べておくと見通しが立ちます
  3. 体調を崩したとき、どうするか — 一人暮らしで、雪の日に医療機関へ行く手段があるかは、事前に確かめられる項目です

3つとも、調べれば答えが出る事実の問いです。

4. 調べる順番を決める

事実の問いが10個になりました。
今週使えるのは1時間です。全部は調べられません。

次の基準で3つに絞ってください。

・答えによって、移住するかどうかの判断が大きく変わるもの
・調べるのに時間がかからないもの

選んだ理由と、どこで調べられるかも書いてください。

出力例

  1. 通信環境 — 在宅の仕事ができなければ、他の条件が良くても成り立ちません。事業者の提供エリア検索で、5分ほどで分かります
  2. 病院の場所と診療科 — 一人暮らしでは重要度が高い項目です。自治体のサイトに一覧があることが多く、15分ほどで確かめられます
  3. 日常の買い物の場所 — 毎日の生活に直結します。地図で店舗を探せば、10分ほどで距離が分かります

3つで30分ほどです。残りの30分は、分からなかった点を自治体の窓口に問い合わせる時間に充ててもよいと思います。

5. 記事に使う問いを選ぶ

調べた内容をもとに、ブログ記事も書きたいです。

10個の問いのうち、記事にしたときに読む人の役に立ちそうなものはどれですか。
逆に、記事にしないほうがよいものも教えてください。

理由も一行ずつ書いてください。

出力例

記事にすると役に立つ

  • 買い物、病院、通信環境 — 同じように移住を考える人が、必ず調べる項目です
  • 冬の車の準備 — 雪のない地域から移る人には、想像しにくい情報です

記事にしないほうがよい

  • 地域の行事や当番 — 感じ方に幅があり、書き方によっては地域の印象を左右します。書くなら、回数などの事実にとどめ、負担かどうかの評価は避けてください
  • 働き口 — 募集状況は変わりやすく、時期によって記事が実態と合わなくなります

どちらの項目も、あなた自身が調べる分には有用です。記事にするかどうかは別の判断になります。

出力をレビューする

  • 問いが、自分の状況に合っているか
  • 事実と好みが混ざっていないか
  • 調べても答えが出ない問いに、時間を使おうとしていないか
  • 今週調べる分が、使える時間に収まっているか
  • 不安をあおる方向に寄っていないか

返事が使いにくかったときの直し方

微妙な出力の例

「地方移住には多くの落とし穴があります。人間関係の閉鎖性、想像以上の出費、仕事の少なさ、冬の厳しさ。移住後に後悔する人は少なくありません。安易な決断は避け、十分な準備期間を設けることをおすすめします。」

問いを立てたかったのに、一般的な注意が返ってきました。しかも、この町の話ではありません。「閉鎖性」も「想像以上の出費」も、どこかの誰かの経験を一般化したもので、ナオさんが調べる対象になりません。読むと不安になるだけで、調べる手がかりが1つも増えていません。

一般的な注意ではなく、私が調べるための問いを作ってください。

・移住全般の話ではなく、私が確かめられる項目にしてください
・「落とし穴」「後悔」のような不安をあおる言葉は使わないでください
・答えを書かず、問いだけ並べてください
・私が自治体や事業者に確かめられる形にしてください

10個まででお願いします。
直したあとの出力

「1. 日常の買い物は、どこまで行けばできるか。2. 病院はどこにあり、何科まで通えるか。3. 車がないと生活できないか。4. 冬の除雪は誰がどこまでやるか。5. ごみの出し方と回収の頻度は。(以下略)」

調べものを頼むと、一般論と注意喚起が返ってくることがあります。「答えを書かず問いだけ」「私が確かめられる形で」と伝えると、作業に使えるリストになります。

小さな練習

今、調べたいと思っていることを1つ挙げてください。範囲が広くてかまいません。むしろ広いほうが、この練習には向いています。

依頼文1を送って、問いを10個に分けてもらいます。次に依頼文2で、事実と好みに分けてもらってください。「これは調べても分からない」と気づいた問いが1つでもあれば、この回は完了です。

次へ進む目安

調べ始める前に「何を知りたいか」を書き出せたら十分です。ここで作った問いのリストは、次の第22回で確認項目表に変えて、実際に確かめていきます。

次は「公式情報で確認する」へ進みます。立てた問いの答えを、確かな場所で確かめる作業です。

同じブラウザ内に進捗を保存します。

更新メモ

2026-08-08 新方針でリライト