毎回ゼロから頼み方を考えると疲れます。この回では、ミカさんが自分の実際の作業から、繰り返し使える依頼文の型を作ります。
この回で作るもの
毎回使える、自分の定番依頼文3つ
これまでのやりとりの中で効いた頼み方を、型として取り出します。毎回変える場所と、固定しておく条件を分けた形で3つ作ります。
今回の例
ミカさんが、毎回同じ説明を書き直している
ミカさんはAIを使うのに慣れてきました。ところが、使うたびに「私はAI初心者で、道の駅の記事を書いていて、確認していない情報は入れないでほしくて」と一から説明しています。前回と同じ条件を思い出すのに、毎回3分かかります。
- よく頼む作業
- 1. メモから短い文章を作る / 2. AIが足した表現を削る / 3. 公開前に確認が必要な箇所を出す
- 毎回書いている条件
- 「確認していない情報は足さないでください」「私が書いていないことは入れないでください」「大げさな言い方は避けてください」
- 止まっている理由
- 条件を書き忘れると変な返事が来る。でも毎回書くのは面倒
型は、穴埋めの用紙ではありません
「型を作る」と聞くと、空欄だらけの用紙を思い浮かべるかもしれません。それでは使えません。空欄を埋める作業が、また考える作業になるからです。
ここで作るのは、ミカさんの実際の作業から取り出した文です。毎回変えるのは題材の1か所だけで、条件の部分は書いたまま固定します。だから、開いてコピーして、1行だけ入れ替えれば送れます。
- 毎回書く条件は、書き写すのではなく型に埋め込む
- 変える場所は1つか2つに絞る
- 実際に3回以上使った頼み方だけを型にする
- 使ってみて合わなければ、その場で書き換える
第5回で、会話ごとに「効いた頼み方」を3行メモに残しました。その2行目に書いた文が、そのまま型の材料になります。残していない場合は、思い出せる範囲で大丈夫です。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- 過去の依頼文から共通部分を取り出す
- 毎回変える場所を見つける
- 条件を整理してまとめる
- 型として並べ直す
自分で見る
- その頼み方を本当によく使うか
- 条件が自分の望みと合っているか
- 実際に1回使ってみる
- 合わなければ書き換える
進め方
- よく頼む作業を3つ書き出す
- 過去に送った依頼文を、思い出せる範囲で貼る
- 共通部分と変わる部分に分けてもらう
- 型の形にしてもらう
- 1つだけ実際に使ってみて、直す
そのまま使える依頼文
1. 共通部分を取り出す
私が過去に送った依頼文を3つ貼ります。
この3つに共通して入っている条件を取り出してください。
毎回変えている部分も、あわせて教えてください。
1つ目:
次のメモをもとに、ブログ記事の導入文を3案作ってください。
確認していない情報は足さないでください。私が見たことだけを使ってください。
2つ目:
次の感想メモから、短い紹介文を作ってください。
私が書いていないことは入れないでください。大げさな言い方は避けてください。
3つ目:
この記事メモを公開する前に、確認したほうがいい情報をリストにしてください。
想像で補わず、確認が必要なものは「要確認」と書いてください。
出力例
3つに共通する条件
- あなたが確認していない情報を足さない
- あなたが書いた内容の範囲を超えない
- 推測した部分は、推測だと分かるようにする
毎回変えている部分
- 素材(メモ、感想、記事メモ)
- してほしいこと(導入文を作る、紹介文を作る、確認項目を出す)
- 出力の形(3案、短い文、リスト)
共通条件は3つとも同じ趣旨なので、1つの文にまとめられます。
2. 型の形にしてもらう
取り出した共通条件を使って、毎回使える型を作ってください。
条件:
・私が毎回書き換えるのは、素材と「してほしいこと」の2か所だけにする
・共通条件は、毎回書かなくて済むよう型に書き込んでおく
・空欄を増やさない。書き換える場所は2か所まで
・そのままコピーして貼れる形にする
出力例
次の素材をもとに、【してほしいこと】をお願いします。
【素材】
道の駅で黒ごまソフトを食べました。香ばしくて、甘さは強すぎませんでした。野菜売り場は広く、日曜の午後は駐車場が混んでいました。
【条件】
・私が書いていないことは足さないでください
・確認していない情報を、事実のように書かないでください
・推測が入る場合は「推測です」と書いてください
・大げさな言い方は避けてください
書き換えるのは、1行目の【してほしいこと】と、【素材】の中身だけです。条件の4行は毎回そのままで使えます。
3. 作業別に3つの型を作る
私がよくやる3つの作業に合わせて、型を3つに分けてください。
1. メモから短い文章を作る
2. AIが足した表現を削る
3. 公開前に確認が必要な箇所を出す
さきほどの共通条件はすべての型に入れてください。
それぞれの型には、その作業だけに必要な条件を1つずつ足してください。
出力例
型1: メモから短い文章を作る
次のメモをもとに、【 】字くらいの文章を3案作ってください。
【メモ】
・私が書いていないことは足さないでください
・確認していない情報を、事実のように書かないでください
・大げさな言い方は避けてください
・3案は、それぞれ書き出しを変えてください
型2: 足された表現を削る
次の文章から、私が渡した素材にない表現をすべて削ってください。
【素材】
【文章】
・言い換えるのではなく、削ってください
・素材より情報を増やさないでください
・削って足りなくなった部分は、書き足さずに質問してください
型3: 確認が必要な箇所を出す
次の文章から、公開前に確認が必要な箇所を抜き出してください。
【文章】
・確認先の候補も一緒に書いてください
・確認できなかった場合の扱いも書いてください
・問題のない箇所は「確認不要」と書いてください
4. 使ってみて合わない箇所を直す
型1を使ってみたところ、3案とも書き出しは違うのに、
中身がほとんど同じでした。
型に足す条件を1つだけ考えてください。
条件を増やしすぎず、1行で済む形にしてください。
出力例
足す条件はこの1行です。
「3案は、書き出しだけでなく、最初に伝える情報も変えてください」
書き出しの指定だけだと、同じ順番で同じ内容が並びます。何から伝えるかを変えるよう指定すると、案の違いがはっきりします。
たとえば、1案目は味から、2案目は場面から、3案目は価格から始まる形になります。
5. 型に名前を付けて保存する
3つの型に、短い名前と使いどころを付けてください。
・名前は10字以内
・使いどころは「いつ開くか」を一行で
・保存したときに、上から順に使う並びにしてください
出力例
| 順 | 名前 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 1 | メモから下書き | 写真やメモが手元にあって、文章を作り始めるとき |
| 2 | 足された分を削る | 返ってきた文章が、自分の素材より大きくなっていると感じたとき |
| 3 | 公開前の確認出し | 文章ができて、公開ボタンを押す前 |
この順番は、実際の作業の流れと同じです。上から順に使えば、下書きから公開前まで届きます。
出力をレビューする
- 書き換える場所が2か所以内に収まっているか
- 毎回書いていた条件が、型に入っているか
- 空欄が増えて、埋めるのが手間になっていないか
- 実際に自分がよく使う作業の型になっているか
- 1回使ってみて、返事が前より使いやすくなったか
返事が使いにくかったときの直し方
「【役割】あなたは経験豊富なプロのWebライターです。【目的】{{目的}}【対象読者】{{ターゲット}}【トーン】{{文体}}【文字数】{{文字数}}【制約条件】{{制約}}【出力形式】{{形式}}【素材】{{素材}}」
形は整っていますが、ミカさんには使えません。埋める場所が7つあり、毎回7つを考えることになります。しかも「あなたはプロのライターです」という設定は、ミカさんが一度も書いたことのない文です。実際のやりとりから取り出した型ではなく、よくある雛形が返ってきています。
この型は、埋める場所が多すぎて使えません。
・空欄は2か所までにしてください
・「あなたはプロのライターです」のような役割設定は入れないでください
・私が実際に送った3つの依頼文から作ってください
・一般的な雛形ではなく、私の言葉を残してください
条件の部分は、毎回書かなくて済むよう埋め込んでください。
「空欄は【してほしいこと】と【素材】の2か所だけにしました。条件の4行は、あなたが3回とも書いていた内容をそのまま残しています。役割設定は入れていません。」
型を頼むと、よくある雛形が返ってくることがあります。「私が実際に送った文から作って」「空欄は2か所まで」と伝えると、自分の言葉が残った型になります。
小さな練習
これまでAIに送った依頼文を、思い出せる範囲で2つ書き出してください。正確でなくてかまいません。「だいたいこう書いた」で十分です。
その2つで依頼文1を送り、共通条件を取り出してもらいます。依頼文2で型にしてもらったら、実際に1回使ってみてください。使えたら、その型を保存すれば完了です。
次へ進む目安
同じ条件を毎回書き直さなくてよくなったら十分です。ここで作った型は、次の第10回でノートに収め、第37回でプロンプト集として整理します。
次は「自分のAIノートを作る」へ進みます。型が増えても迷わないよう、記録の形を決めます。