同じ場所に何度も行くと、記事が似てきます。この回では、ナオさんが過去記事と重ならない切り口を見つけます。
この回で作るもの
過去記事と重ならない切り口5案
これまでの記事と何が重なっているかを確かめたうえで、まだ書いていない角度を5つ出します。書ける材料があるかどうかも一緒に確かめます。
今回の例
ナオさんの記事が、毎回同じ形になっている
ナオさんは同じ直売所に3回行きました。3回とも記事にしましたが、読み返すと、どれも同じような内容です。行った、見た、買った、良かった。次に行っても、また同じ記事になりそうです。
- 過去の3本
- 1本目「駅前の直売所に行ってきました」 / 2本目「秋の直売所で野菜を買いました」 / 3本目「直売所で見つけた加工品」
- 3本の共通点
- どれも「行った→並んでいたものを紹介→買ったものの感想」の順
- 4本目に書きたいこと
- また行くので書きたい。でも同じ形になりそう
- 止まっている理由
- 「切り口を変える」と言われても、何をどう変えるのか分からない
切り口とは、何を中心に置くか
「切り口」という言葉は抽象的です。具体的に言えば、同じ出来事のどこを中心に置くかということです。
ナオさんの3本は、どれも「自分が行った体験」を中心に置いています。中心を変えると、同じ直売所でも別の記事になります。たとえば、時間を中心にする(朝と夕方の違い)、比較を中心にする(スーパーとの値段)、人を中心にする(誰が買いに来ているか)、変化を中心にする(3か月で何が変わったか)。
- 体験の順に書くと、毎回同じ形になる
- 行った回数が増えるほど、書けることは増えているはずなのに使えていない
- 「切り口」が抽象的なままだと、変えようがない
- 新しい角度を思いついても、材料がなくて書けない
1回しか行っていなければ書けない記事があります。比較、変化、時間帯の違いは、複数回行った人だけが書けます。回数を重ねたことを、材料として使います。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- 過去記事の共通点を見つける
- まだ書いていない角度を挙げる
- 各案に必要な材料を示す
- 書けない案を指摘する
自分で見る
- 自分が書きたい角度かどうか
- 手元に材料があるか
- 読者にとって役立つか
- 次に行くときに何を見ておくか
進め方
- 過去記事の見出しや要点を渡す
- 共通点を挙げてもらう
- 重ならない切り口を5つ出してもらう
- 各案に必要な材料を確かめる
- 次に行くときに見ておくことを決める
そのまま使える依頼文
1. 過去記事の共通点を見つける
同じ直売所について、3本記事を書きました。
似た内容になっている気がします。
3本の要点を貼ります。共通している点を挙げてください。
どこが同じでどこが違うかを、具体的に指摘してください。
1本目: 駅前の直売所に行った。野菜が並んでいた。トマトを買った。おいしかった
2本目: 秋に直売所に行った。きのこや芋が並んでいた。さつまいもを買った。甘かった
3本目: 直売所で加工品を見つけた。ジャムがあった。買って食べた。おいしかった
出力例
共通している点
- 構成が同じです。行った → 並んでいたものを見た → 買った → 食べた感想、の4段階が3本とも同じ順です
- 視点が同じです。3本とも、あなたが買う側として書いています
- 終わり方が同じです。3本とも味の感想で終わっています
違う点
- 季節が違います(1本目は時期の記述なし、2本目は秋、3本目は不明)
- 買ったものの種類が違います(野菜、野菜、加工品)
違いは扱う商品だけで、記事の形は同じです。読む人には「また同じ記事」に見える可能性があります。
2. 重ならない切り口を5つ出す
同じ直売所について、4本目を書きます。
過去3本と重ならない切り口を5つ出してください。
条件:
・「行った→見た→買った→感想」以外の形にしてください
・各案について、何を中心に置くのかを一行で書いてください
・実現できるかどうかは、次に私が判断します
出力例
- 時間帯を中心に置く — 朝いちばんと夕方で、並んでいるものがどう違うか
- 変化を中心に置く — 3回通って、季節ごとに何が入れ替わったか
- 比較を中心に置く — 同じ野菜を、直売所とスーパーで買って比べる
- 買わなかったものを中心に置く — 気になったが買わなかったもの。なぜ選ばなかったか
- 使い方を中心に置く — 買ったものを家でどう使ったか。料理までを1本にする
1と2は、複数回行ったあなたにしか書けない切り口です。3は追加の買い物が必要になります。
3. 材料があるか確かめる
5つの案について、今の私の手元にある材料で書けるかを見てください。
【手元にあるもの】
・3回分の写真(各10枚ほど)
・買ったもののレシート3枚
・そのときのメモ(各3行ほど)
・3回とも午前中に行っている
書ける案、材料が足りない案、次に行けば書ける案に分けてください。
出力例
今すぐ書ける
- 案2(変化) — 3回分の写真とレシートがあります。並んでいたものの入れ替わりが確認できます
- 案4(買わなかったもの) — 写真に写っているのに買っていないものを探せば書けます。ただし、なぜ買わなかったかを思い出せるかによります
材料が足りない
- 案1(時間帯) — 3回とも午前中です。夕方の様子がないため、今は書けません
- 案3(比較) — スーパーで同じ野菜を買った記録がありません
- 案5(使い方) — 料理の写真や記録が残っていない可能性があります。手元をご確認ください
次に行けば書ける
- 案1 — 次回を夕方にすれば、午前との比較が書けます
- 案3 — 次回の買い物のあと、同じ野菜をスーパーで見れば書けます
4. 次に見ておくことを決める
次に直売所へ行くとき、案1(時間帯)を書くために
見ておくことをリストにしてください。
・現地で撮る写真
・その場でメモすること
・帰ってから記録すること
の3つに分けてください。
現地で迷わないよう、具体的な動作で書いてください。
出力例
現地で撮る写真
- 入口付近の全体(午前と夕方で同じ位置から)
- 野菜売り場の棚(同じ棚を同じ角度で)
- 値札が読める寄りの写真
その場でメモすること
- 入った時刻
- 棚が埋まっているか、空きがあるか
- 置かれている品目の種類(数えられれば数を)
- お客さんの人数(だいたいで可)
帰ってから記録すること
- 買ったものと価格(レシートを保存)
- 午前と夕方で、自分が感じた違い
同じ位置から同じ角度で撮ることが要点です。写真が比べられる形になります。
5. 切り口の一覧を残す
今回出た切り口を、次から使える一覧にしてください。
・直売所以外の場所でも使える形にしてください
・「何を中心に置くか」で分類してください
・5つのまま、増やさないでください
・それぞれ、必要な材料も一行で
出力例
| 中心に置くもの | 書けること | 必要な材料 |
|---|---|---|
| 時間 | 時間帯や曜日による違い | 異なる時間に訪ねた記録2回分 |
| 変化 | 期間を置いて何が変わったか | 間隔をあけた訪問記録2回以上 |
| 比較 | 似た対象との違い | 比べる相手の記録 |
| 選ばなかったもの | 候補にあがったが選ばなかった理由 | その場の写真と、選ばなかった記憶 |
| その後 | 買ったもの、得たものをどう使ったか | 持ち帰ったあとの記録 |
「時間」と「変化」は、同じ場所に複数回行った人だけが書けます。回数が増えるほど有利になる切り口です。
出力をレビューする
- 過去記事と本当に重なっていないか
- 「中心に置くもの」が具体的か
- 手元の材料で書けるか確かめたか
- 書けない案を、書けるふりで残していないか
- 自分が書きたいと思える案があるか
返事が使いにくかったときの直し方
「新しい視点を取り入れましょう。1. 生産者の想いに迫る 2. 地域経済への貢献を考察する 3. 食のサステナビリティを問う 4. 伝統的な農法の価値を再発見する 5. 地方創生のモデルケースとして分析する」
切り口としては新しく見えますが、ナオさんには1つも書けません。生産者に会っていませんし、経済も農法も調べていません。しかも、直売所に行って野菜を買った記録から、社会的な考察へ話が飛んでいます。手元の材料と、提案の距離が離れすぎています。
この5案は、私の手元の材料では書けません。
・生産者に会っていません。地域経済も農法も調べていません
・社会的な考察ではなく、私が見たことから書ける切り口にしてください
・「サステナビリティ」「地方創生」のような言葉を使わないでください
私が持っているのは、3回分の写真とレシートとメモだけです。
この材料で書ける切り口を5つ出してください。
「1. 時間帯を中心に置く(朝と夕方の違い)。2. 変化を中心に置く(3回で何が入れ替わったか)。3. 比較を中心に置く(スーパーとの違い)。4. 買わなかったものを中心に置く。5. 使い方を中心に置く(家でどう使ったか)。2と4は、今の材料で書けます。」
切り口を頼むと、大きなテーマへ広げる提案が返ってくることがあります。手元の材料を伝えて「この材料で書ける切り口を」と限定すると、使える案になります。
小さな練習
自分が2回以上書いたことのあるテーマを1つ選んでください。同じ場所、同じジャンル、同じ相手など、何でもかまいません。
過去記事の要点を短く書いて、依頼文1を送ります。共通点を見つけてもらったら、依頼文2で重ならない切り口を出してもらってください。1つでも「これなら書ける」と思えたら、この回は完了です。
次へ進む目安
似た記事になりそうなとき、「何を中心に置くか」を変えられたら十分です。ここで作った切り口の一覧は、第31回で記事の中心を決めるときにも使えます。
次は「検索されそうな言葉を自然に広げる」へ進みます。読者が使う言葉を、不自然にならない形で増やします。