短くまとめるのは、長く書くより難しいことがあります。この回では、ハルさんが感想メモから120字の紹介文を作ります。
この回で作るもの
そのまま使える120字の紹介文
感想メモから、120字前後の紹介文を1本仕上げます。あわせて、削る順番の考え方を持ち帰ります。
今回の例
ハルさんが、削れずに400字になっている
ハルさんは、ブログの記事一覧に載せる短い紹介文を書こうとしています。120字くらいに収めたいのに、書き始めると全部入れたくなって400字を超えました。読み返すと、どれも削れない気がします。
- 感想メモ
- 「栗どら焼き260円。皮がふんわり。栗が大きく甘露煮のような味。あんは甘さ控えめ。平日午後で店内は空いていた。窓際の席から通りが見えた。店の人が包み方を丁寧に教えてくれた」
- 書いた紹介文
- 400字を超えて、感想メモの内容がほぼ全部入っている状態
- 止まっている理由
- どれも書きたいことなので、どこから削ればいいのか決められない
削るのではなく、選ぶ
「削る」と考えると手が止まります。全部が大事に見えるからです。考え方を変えて、「この紹介文で何を伝えたいか1つ決める」と、残すものが決まります。
ハルさんのメモには、味の話、店の様子の話、店の方とのやりとりの話が混ざっています。120字で3つ全部は入りません。1つ選べば、残り2つは自然と外れます。
- 全部入れようとすると、どれも中途半端になる
- 削る作業だと思うと、惜しくて進まない
- 字数を先に決めないと、いつまでも増える
- 1案だけ作ると、それが良いのか分からない
AIは字数を正確に数えるのが得意ではありません。110字になったり135字になったりします。ぴったりを目指さず、「120字前後」で頼んで、最後に自分で調整するのが確実です。
AIに任せる部分と自分で見る部分
AIに頼みやすい
- メモを話題ごとに分ける
- 軸を変えた案を複数出す
- 指定した字数に近づける
- 削った部分を教える
自分で見る
- 何を伝えたいかの決定
- 実際に食べた感覚と合っているか
- 語尾を自分の言い方にする
- 最後の字数調整
進め方
- 感想メモを話題ごとに分けてもらう
- 伝えたい話題を1つ選ぶ
- その軸で120字前後の案を3つ出してもらう
- 1つ選んで、語尾を自分で直す
- 字数を数えて調整する
そのまま使える依頼文
1. メモを話題ごとに分ける
次の感想メモを、話題ごとに分けてください。
まだ文章にはしないでください。分けるだけお願いします。
メモ:
栗どら焼き260円
皮がふんわり
栗が大きく甘露煮のような味
あんは甘さ控えめ
平日午後で店内は空いていた
窓際の席から通りが見えた
店の人が包み方を丁寧に教えてくれた
出力例
- 味の話: 皮がふんわり / 栗が大きく甘露煮のよう / あんは甘さ控えめ
- 店の様子: 平日午後で空いていた / 窓際から通りが見えた
- 人とのやりとり: 包み方を丁寧に教えてもらった
- 基本情報: 260円
味の話が3項目と一番多く、書ける材料が揃っています。人とのやりとりは1項目だけなので、これを軸にすると内容が薄くなる可能性があります。
2. 軸を決めて120字前後で作る
味の話を軸にして、120字前後の紹介文を3案作ってください。
条件:
・私が書いていないことは足さないでください
・大げさな評価語は使わないでください
・3案は、最初に伝える情報を変えてください
・価格260円はどの案にも入れてください
出力例
案1(味から) 121字
「栗どら焼きは1個260円です。皮はふんわりしていて、中の栗は大きめ。甘露煮のような味がします。あんの甘さが控えめなので、栗の味が前に出ます。平日の午後に買いました。」
案2(価格から) 116字
「1個260円の栗どら焼きを買いました。皮がふんわり、栗は大きめで甘露煮のような味です。あんは甘さ控えめでした。平日の午後、空いている店内でゆっくり選べます。」
案3(場面から) 124字
「平日の午後、空いている店で栗どら焼きを買いました。1個260円です。皮はふんわり、栗は大きめで甘露煮のような味がします。あんが甘さ控えめなぶん、栗の味がよく分かりました。」
3. 削った部分を教えてもらう
案3を採用します。
私のメモのうち、案3に入らなかった情報を教えてください。
入らなかったものについて、
・記事の本文で書けばよいもの
・書かなくてよいもの
に分けてください。
出力例
入らなかった情報: 窓際の席から通りが見えた / 店の人が包み方を丁寧に教えてくれた
記事の本文で書けばよいもの
- 窓際の席の話 — 店の様子として、本文の中盤に置くと自然です
- 包み方を教えてもらった話 — 持ち帰りの場面として、本文の後半で書けます
書かなくてよいもの
- 該当なし。どちらも本文で使えます
紹介文に入らなかったからといって、その情報が不要とは限りません。置く場所が違うだけです。
4. 字数を調整する
案3が124字でした。115字くらいまで縮めたいです。
・情報は減らさないでください
・言い回しを短くする方向で直してください
・どこを短くしたかも教えてください
出力例
短くした案 114字
「平日の午後、空いている店で栗どら焼きを買いました。1個260円。皮はふんわり、栗は大きめで甘露煮のような味です。あんが控えめなぶん、栗の味がよく分かります。」
短くした箇所
- 「260円です」→「260円。」(3字)
- 「甘さ控えめなぶん」→「控えめなぶん」(2字)
- 「分かりました」→「分かります」(1字)
- 読点を2か所減らしました(2字)
情報は減らしていません。文末の時制を現在形にすると、全体が少し短くなります。
5. 別の軸でも作って比べる
同じメモから、店の様子を軸にした案も1つ作ってください。
120字前後で、条件は先ほどと同じです。
作ったあと、味を軸にした案と比べて、
それぞれどんな読者に向いているかを書いてください。
出力例
店の様子を軸にした案 118字
「平日の午後に立ち寄ると、店内は空いていました。窓際の席からは通りが見えます。栗どら焼きは1個260円。包み方も丁寧に教えていただき、そのまま持ち帰りました。」
比べると
- 味を軸にした案 — 何を買うか決めたい人向けです。栗どら焼きを検索して来た人に届きます
- 店の様子を軸にした案 — その店に行くかどうかを考えている人向けです。滞在の様子が分かります
記事の中心が味の話であれば、紹介文も味を軸にしたほうが、開いたあとの内容と一致します。
出力をレビューする
- 実際に食べた感覚と合っているか
- 書いていない味や評価が足されていないか
- 1つの話題に絞れているか
- 語尾が自分の言い方になっているか
- 字数を自分で数えたか
返事が使いにくかったときの直し方
「ふんわり生地に大粒の栗が贅沢に詰まった栗どら焼き。上品な甘さのあんとの相性は抜群で、一口食べれば秋の訪れを感じさせてくれます。落ち着いた店内で過ごすひとときも格別。ぜひ足を運んでみてください。」
字数はほぼ120字ですが、ハルさんのメモにない言葉ばかりです。「贅沢に」「相性は抜群」「秋の訪れ」「格別」はどれも書いていません。しかも260円という、書いた情報が消えています。書いたことが消えて、書いていないことが増えました。
私のメモにない表現が多く入っています。
・「贅沢に」「相性は抜群」「秋の訪れ」「格別」は書いていません
・「ぜひ足を運んで」のように、読む人にすすめる言い方はしません
・私が書いた260円が消えています。必ず入れてください
メモにある情報だけで、120字前後にしてください。
「平日の午後、空いている店で栗どら焼きを買いました。1個260円。皮はふんわり、栗は大きめで甘露煮のような味です。あんが控えめなぶん、栗の味がよく分かります。」
短い文ほど、飾りの言葉で埋められやすくなります。「メモにある情報だけで」と、必ず入れる情報を1つ指定すると安定します。
小さな練習
最近食べたものについて、感想を5行のメモにしてください。味、値段、場所、そのときの様子。思い出せる範囲で大丈夫です。
そのメモで依頼文1を送り、話題ごとに分けてもらいます。1つ選んで依頼文2を送り、出てきた3案から1つを選んでください。語尾を自分の言い方に直せば、この回は完了です。
次へ進む目安
短くまとめるときに「何を伝えるか1つ決める」ができたら十分です。ここで作った紹介文は、第16回の導入文や第35回のメタ説明でも同じ考え方を使います。
次は「難しい説明をやさしく直す」へ進みます。今度は、調べた内容を読みやすくする作業です。